リビングで雑誌をパラパラとめくっていると、立野雫が特集されたページが目に入った。背が高く、プロポーションも抜群な彼女は、撮影会で堂々とした姿を披露している。最近、芸能界で一躍注目を浴びている彼女を、教師として見守る一方、どこか誇らしい気持ちも芽生えていた。
その時、リビングのドアが開いて、ユリシアが入ってきた。彼女はいつも通りの明るい笑顔を浮かべていたが、私が手にしている雑誌に目を留めると、笑顔が一瞬曇ったように見えた。
「あれ?おにいたん、何見てるの?」と、彼女が近づいてきた。私は思わず雑誌を閉じ、少し慌てた動作で床に落としてしまった。表紙に写る雫の写真が、ユリシアの目にしっかりと映ってしまったのだ。
「え、あ、これはただの雑誌だよ…」と、急いで言い訳をしようとするが、ユリシアはじっと雑誌と私を交互に見つめている。
「雫ちゃんの写真だよね?先生がわざわざ見てるなんて、何か意味があるんじゃないの?」ユリシアの声には嫉妬の色が含まれていて、いつもの明るさとは違う雰囲気が漂っていた。
「いやいや、そんな特別な意味はないんだよ!たまたま目に入っただけで…」と、慌てて弁解する私。しかし、ユリシアの視線はまだ冷たい。
「ふぅん…でも、雫ちゃんってスタイルすごくいいよね。先生がそんな彼女の写真を見てるなんて、なんか嫌な感じ…」ユリシアはそう言いながら少し視線を落とした。
ユリシアは普段明るく振る舞っているが、実は彼女自身、胸部のボリュームが多すぎることにコンプレックスを抱いている。それに比べ、雫はプロポーションが理想的で、周りからの注目も浴びている。だからこそ、私が雫の写真を見ていたことが、ユリシアにとって不安の種となっているのだ。
「ユリシア、そんなことないよ。雫も確かに頑張ってるけど、君だってすごく魅力的だし、何も気にする必要はないんだよ。」私は彼女を安心させるために、できるだけ優しく言葉をかけた。
「ううん、わかってるよ。でも…私、雫ちゃんみたいにみんなに褒められるスタイルじゃないし、先生だって、本当はそっちの方が好きなんじゃないかなって…」ユリシアはそう言いながら、少し落ち込んだ表情を見せた。彼女のコンプレックスがその言葉に表れていた。
「そんなことないよ、ユリシア。君のことは本当に大事だし、君なりの魅力がたくさんあるんだから。胸のことも含めて、ユリシアはすごく素敵だよ。」そう言って、彼女の頭を撫でながらフォローする。
ユリシアは一瞬黙ったが、私の言葉に少しだけ顔を上げた。「本当に?私、やっぱりちょっと大きすぎるかなって思ってたから…。みんなからも目立つし、雫ちゃんみたいにスラッとした体型になれたらいいなって、いつも思ってたんだ。」
「そんなことない。ユリシアのスタイルもすごく素敵だし、それをちゃんと誇りに思っていいんだよ。僕は、君のことを一番大事に思ってるし、何も心配する必要なんてないんだから。」
その言葉に、ユリシアは少しほっとした様子を見せ、笑顔を浮かべた。「そっか…。おにいたんがそう言ってくれるなら、ちょっと安心したかも。でも…おにいたん、もうちょっと優しくしてくれたら、もっと安心するかもしれないよ?」ユリシアはそう言って、少し甘えた表情で私の肩に寄りかかってきた。
「もっと優しくって?」私は少し戸惑いながら聞き返す。
「うん…あのね、キス…してほしいな。」ユリシアは顔を赤らめながら、恥ずかしそうに小さな声で言った。
その言葉に、私は一瞬驚いたが、ユリシアの不安を感じていたこともあり、彼女を抱きしめてそっと額にキスをした。「これで安心できたかい?」
ユリシアは顔を赤くしながらも、満足そうに微笑んだ。「うん、ありがとう、おにいたん♡。これで私、もっと頑張れるかも。」