Don’t Get Me Wrong! ~雫の本音~
『もう!なんであの渚先生が、あんなにもストレートに想いを歌えるのよ!?』
文化祭での渚先生の歌声を聴いた時、私の中で何かが弾けたの。まるで挑戦状を突きつけられたみたいで…。あんな風に素直に気持ちを伝えられる渚先生が、正直すっごく眩しかった。
だから私も…負けたくなくて…。
って、別にあんたのこと意識してるわけじゃないんだからね!たまたま…そう、たまたま曲を作ろうと思っただけ。渚先生に触発されたなんて、絶対に認めないんだから。
でも、作詞してるうちに、どんどん溢れてきちゃって…。普段は絶対に口に出せない言葉が、歌詞になって零れ落ちていくの。廊下ですれ違う度に装った無関心も、必死に隠してた視線も、全部全部言葉になっていって…。
「や、やだ…こんなの書いてたら、顔が熱くなってきちゃった…」
褒められた時の言葉、全部覚えてるんだから。「立派な女優になったね」って言ってくれた時の優しい目も、「雫なら出来る」って背中を押してくれた温かい声も…。でも、そんなこと絶対に言えないじゃない。だって私は…私は…。
「ふん!別に褒められて嬉しいわけじゃないんだからね!」
…なのに、どうしてこんなに心が騒ぐの?どうして目が合った瞬間、胸がきゅっと締め付けられるの?
この曲の中なら、少しだけ…ほんの少しだけ、本当の気持ちを込めてもいいかな…なんて。
だってね、和先生の近くにいると、私、自分でも分からなくなっちゃうの。「近づかないで」って言いたいのに、その優しさにもっと触れたくて。「気づかないで」って思うのに、もっと見つめていてほしくて。
こんなわけわかんない気持ち、全部あんたのせいなんだからね!
…本当は、まだ言えない言葉がたくさんあるの。でも、今はこの歌の中に閉じ込めておくわ。いつか…きっといつか、この想いを本当の言葉にできる日まで。
って、べ、別にあんたに聴いてほしいわけじゃないんだからね!ただの練習…そう、女優としての演技の練習よ!
…でも、聴いてくれたら…嬉しいかも…。
なんて言うわけないでしょ!このおっさん!
SUNO AI
