湖畔の記憶、消した文字 ~雫のツンデレ日記~ 2025盛夏(第2学年編・11-03)

立野雫の視点第2学年雫の日記

別に、花火が特別楽しかったとか、そんなんじゃないんだからね。💢
会場に着くまでの道は人が多くて暑かったし、ユリシアは相変わらず「おにいたん♡」ってうるさかったし…。まったく、あんなにベタベタして恥ずかしくないのかしら。😑

…でも、まあ…悪くは、なかったかも。

湖に映る花火、本当に二つ咲いてるみたいで…正直、ちょっとだけ綺麗だって思った。柚羽が隣で「わぁ…」って目をキラキラさせてるの見てたら、なんだかこっちまで変な気分になっちゃって。まったく、手のかかる後輩なんだから。浴衣の着崩れも気にしてあげなきゃいけないし、さっきの人混みではぐれないように、つい手を繋いであげちゃったし…。でも、あの子が嬉しそうにしてるの見てたら…まあ、悪くはなかった。うん。

妹の美咲も、連れてきてあげたかったんだけど…夏風邪で熱が出ちゃって、家でお留守番だったのよね。10歳のくせに「お姉ちゃん、行ってきてね」って弱々しく笑っちゃって…。あの子のためにも、もっとちゃんと稼がないと。でも、花火の写真送ったら、美咲が「綺麗!次は一緒に!」って返事来たの。ふん、嬉しいんだか何だか…。でも、あの子の笑顔が見えて、ちょっとだけほっとしたわ。

それより、問題はあのおっさんよ!😠
なんであたしが寒がりだって覚えてるのよ…!急にマフラーとか渡してきて…!
…ちょっと、いや、かなりドキッとしたじゃない…。心臓に悪いんだから、ああいう不意打ちは。😳

1枚目のイラスト:和先生から渡されたスカーフを首に巻いて嬉しそうに俯いている雫

浴衣、似合ってるって…そんなの、社交辞令に決まってるじゃない。分かってる。分かってるけど…あんたに褒められると、どうしてこんなに調子が狂うのよ。😮‍💨

最近、グラビアの仕事より、帳簿の数字を追ってる時間の方が長いかも。
…あんたが、褒めてくれるから。
「雫ならできる」って、あの電卓の時みたいに、まっすぐな目で見てくれるから。
補講でT字勘定のコツを教えてくれたり、簿記の成績が上がった時、「よく頑張ったな」って頭撫でてくれたり…。ふん、そんなんで調子に乗ってるわけじゃないけど。別に、あんたのために勉強してるわけじゃないんだからね!😤 ただ、学院でトップレベルになったのは…まあ、悪くないわよね。将来的に簿記の資格を取って、和先生みたいな会計のスペシャリストになって、家計を支えたい。あの子(美咲)に良い思いをさせてあげられるように…グラビアの仕事も減っちゃったけど、それでいいわ。簿記が楽しくなってきたんだから、仕方ないわよね。

…はぁ。
ユリシアは「婚約者」で、渚先生は「元教え子で同僚」で、茉里絵は「淑女」として、みんなそれぞれ自分の立ち位置がある。じゃあ、あたしは?
「手のかかる生徒」?それとも「たまにグラビアに出てる子」?

違う。そんなんじゃない。
あたしは、あたしだけの武器で勝負するって決めたんだから。簿記だって、グラビアだって、妹のためにも、自分のためにも…。🔥

今日の花火、綺麗だった。
来年も、みんなで…か。
別に、期待なんかしてない。でも、もし…もしまた、あの場所にみんなで行けるなら。美咲も一緒に連れてってあげたいな。

その時は、もう少しだけ…素直に「綺麗だね」って言える私に…なれてるのかな。🤔

…なんて、柄にもないこと考えちゃった。
疲れてるのよ、きっと。
もう寝る。おやすみ。😴

あんたの隣で、また…(慌てて消した跡)💖

2枚目のイラスト:打ち上げ花火を見ている途中で和先生に満面の笑顔を向ける雫

湖畔の花火と五つの想い ~夏の夜に咲く恋の花~(2025花火大会)(第2学年編・11)
第1章:浴衣姿の乙女たち夏の夕暮れ、チューエル淑女養成学院の正門前には、色とりどりの浴衣に身を包んだ女性たちが集まっていた。ユリシアおにいたん♡、お待たせ!水色...