「はぁ…今日は絶対に成功させるぞ…!」そう意気込んで、私はバランスボールの上にゆっくり座った。保健体育の教師として、しなやかな体と健康は大切なこと。加えて、女性としての美しさも磨かなければいけないと思っている。そう、それは全て和先生に認めてもらいたいから…。だけど、私ったら、和先生のことを考えただけで、すぐに顔が熱くなっちゃう。
「でも、頑張らなきゃ…」
和先生は学院でも頼りにされている存在。そんな彼に、私も一人の女性として見られたい。いや、ちゃんと教師としても尊敬されたいけど…でもやっぱり、それだけじゃ嫌。私だって彼に女性として見てほしい。
そう考えるたびに胸がドキドキする。だって、私には恋愛経験が全くないし、異性に触れたことすらないんだもん。だけど、保健体育の先生としては、知識だけは豊富だから、ついつい妄想が膨らんでしまう。もしも、和先生に「渚、もっと女性らしくなったね」なんて言われたら…どうしよう…!
その瞬間、私はふっとバランスを崩しそうになった。
「やばっ!落ち着いて、落ち着いて…」
気を取り直して、私はボールの上でしっかりと姿勢を整える。そう、正しい姿勢で、体幹を鍛えながら動くことが大事。これで美しい体のラインを手に入れて、和先生に褒められたい…いや、それどころか、もっと意識してもらいたい!
「あぁ、和先生が私を見てくれたら…」
考えるだけで顔が熱くなってしまう。だって、これまで一度も恋をしたことがなかった私が、あんなに素敵な人に出会ってしまったんだから仕方ないじゃない。教え子だった私を助けてくれた、恩師としても、憧れの存在としても、大切な和先生。…でも、それ以上に、一人の男性として意識してしまう。
「はぁ、もっと女性らしくならなくちゃ」
私はもう一度深呼吸をして、バランスボールに集中する。体の芯を意識して、ゆっくりと体を動かす。これで体幹が強くなれば、きっと姿勢も良くなるし、女性らしいしなやかさも手に入れられるはず。
…そうしたら、和先生も私をもっと気にかけてくれるかもしれない。頭の中で、和先生が私を褒めてくれる光景を想像する。
「渚、すごいよ。本当に綺麗になったね」
その瞬間、私の心臓はもう爆発寸前。だって、和先生にそんなこと言われたら…私、どうすればいいの?顔が真っ赤になるのは間違いないし、下手したらその場で倒れてしまうかもしれない。いや、それはそれで和先生が助けてくれるかも…なんて、もう妄想が止まらない!
でも、その妄想が裏目に出て…
「あっ、キャーッ!」
妄想に浸りすぎて、バランスを崩してしまった!勢いよくボールから転がり落ちて、床にドーンと尻もち。顔が一気に赤くなるのが分かる。もう、何やってるの私!教員としての立場があるんだから、こんなことではダメよ。
でも、心のどこかで「和先生、見ててくれたらよかったのに…」なんて思ってしまう自分がいる。そうやって、和先生に見てもらいたい気持ちが、どうしても拭えないんだ。
「でも、負けない!」
バランスを崩して転んだくらいで、諦めるわけにはいかない。和先生に「渚、君は本当に頑張ってるね」って言ってもらうためには、もっともっと努力しなきゃ。私は何度もボールに座り直し、ゆっくりと体幹を意識しながら再び挑戦する。
「頑張って、渚!体の芯を鍛えて、もっとしなやかに、もっと美しく!」
このバランス感覚を磨けば、きっと和先生も気づいてくれるはず。私の努力を、私の想いを。そして、いつか、彼の心の中で私がもっと大きな存在になれたら…。
「よし、これで成功させるぞ!」
気合を入れ直して、私は再びバランスボールの上で挑戦を続けた。妄想も、努力も、すべては和先生に見てもらうため。そんな気持ちが、私を支えているんだ。