私の日記
登山の日、朝早くから僕とユリシアは学院を出発し、森に囲まれた登山道の入り口にたどり着いた。太陽がまだ低い位置にあり、空気は涼しく澄んでいて、僕たちを迎える自然の香りが広がっている。ユリシアは黒色の上着に赤い短パン、頭にはカチューシャをつけ、元気いっぱいの笑顔で僕を見上げた。
「おにいたん、今日は絶対に頂上まで登り切るからね!ちゃんと見ててよ!」
その無邪気な笑顔と言葉に、僕は自然と微笑み返す。
「もちろん見てるよ。けど、無理はしないでね。」
そう言いながら、僕たちはゆっくりと登山を開始した。森の中に入ると、木漏れ日が心地よく、緑の木々が風に揺れ、鳥のさえずりが僕たちを包み込む。ユリシアは前を歩きながら、はしゃぎながら話しかけてくる。
「おにいたん、あの鳥見て!あんなに近くに飛んでるよ!」
「うん、すごいね。自然って本当に素晴らしいよな。」
彼女の無邪気な笑顔に癒されながら、僕の心は徐々に軽くなっていく。普段の忙しさから解放され、この瞬間がただただ幸せだった。だが、時間が経つにつれて気温が上がり、太陽の光が強くなり始めた。ユリシアも次第に汗をかき、額に汗が滲んでいるのがわかる。
「ちょっと暑くなってきたな…」と、ユリシアがぼそりとつぶやいた。
僕は彼女の様子が気になり、休憩を提案することにした。「ユリシア、少し休もう。無理するとバテちゃうよ。」
彼女は一瞬考えてから、木陰に座り込んだ。「うん、少し休憩しよっか。汗かいちゃったし、着替えよっと。」
ユリシアは持参していた白色のTシャツに着替え始めた。黒い上着から白いTシャツに変わった彼女の姿は、どこか爽やかで清潔感が漂い、一段と可愛らしく見えた。けれど、まだ少し暑そうな様子をしている。
そこで僕はふと思い立ち、かぶっていた麦わら帽子を手に取った。「ユリシア、これをかぶりなよ。直射日光が強いから、少しでも涼しくなるはずだよ。」
彼女は驚いたように僕を見上げ、少し照れくさそうに笑いながら「ありがとう、おにいたん♡」と言って、帽子をかぶった。その表情には感謝の気持ちが溢れていて、僕も心が温かくなるのを感じた。
休憩が終わり、僕たちは再び山道を歩き始めた。ユリシアは元気を取り戻し、前を歩きながらしきりに話しかけてくる。木々の間から差し込む太陽の光、そして遠くから聞こえる川のせせらぎが僕たちを包み込み、自然との調和を感じながら一歩一歩進んでいった。
頂上までの道のりは険しくなっていったが、ユリシアは決して弱音を吐かず、むしろその目には挑戦の炎が宿っているかのようだった。
「もう少しだよ、ユリシア。頑張ろう。」
「うん!おにいたんと一緒に頂上まで行くんだもん、頑張るよ!」
彼女のその言葉に、僕は胸が熱くなった。彼女がこうして一生懸命頑張る姿を見ると、父親のような感情が湧いてきて、どうしても応援したくなる。
そして、ついに僕たちは頂上にたどり着いた。目の前に広がる風景は、言葉を失うほど美しかった。青い空がどこまでも広がり、遠くの山々が静かにそびえ立ち、その風景にユリシアも感動していた。
「すごい…本当に綺麗…」
彼女はそう呟きながら、麦わら帽子を少し傾けて直した。その姿を見て、僕は何とも言えない満足感を感じた。ユリシアと一緒にこの美しい景色を共有できることが、今この瞬間何よりも嬉しかった。
「おにいたん、一緒に写真撮ろうよ!」
彼女が急にそう言い出し、僕の腕を引っ張る。スマホを取り出し、僕たちは記念写真を撮った。ユリシアの笑顔は太陽に負けないくらい明るく、僕もつられて自然と笑みがこぼれる。
「さて、そろそろ下山しようか。帰り道も気をつけないとね。」
僕がそう言うと、ユリシアは意味深な笑顔を浮かべ、「うん、でもその前に…サプライズがあるの!」と声を弾ませた。
「サプライズ?何を企んでるんだい?」
僕が少し警戒しながら訊くと、彼女は麦わら帽子を手で押さえ、まるでいたずらっ子のようにニヤリと笑った。そして、急に僕に近づいてきたかと思うと、僕のほっぺに軽くチュッとキスをした。
一瞬、何が起こったのか理解できず、僕はその場で固まってしまった。ユリシアはそんな僕の様子を見て、笑いながら「おにいたん、びっくりした?」と無邪気に言った。
「そ、そりゃ驚くよ…」と僕は返したが、心の中ではそれ以上に動揺していた。頬が熱くなり、心臓が早鐘のように打ち始めた。まさか、こんな形でユリシアからのサプライズがあるとは思わなかった。
ユリシアは僕の反応を見て満足げに笑い、「おにいたん、いつも優しくしてくれるから、そのお礼だよ!」と嬉しそうに言った。その無邪気な言葉に、僕は返す言葉を見つけられず、ただ苦笑いするしかなかった。
「じゃあ、帰り道も気をつけて下山しようか」と、なんとか落ち着きを取り戻して声をかけると、ユリシアは嬉しそうに頷き、僕たちは再び歩き始めた。
帰り道、ユリシアは相変わらず元気に話しかけてきたが、僕は彼女のサプライズにまだ少し動揺していた。それでも、その瞬間の温かさと優しさが心に残り、僕たちの絆が一層深まったのを感じていた。
こうして、僕たちの登山は無事に終わり、帰り道でも楽しい時間を過ごすことができた。ユリシアの無邪気なサプライズに、僕の心はしばらくドキドキし続けていたが、それもまた、彼女との特別な思い出として心に刻まれたのだった。
ユリシアの日記
今日はおにいたんとの特別なハイキングの日だった…♡ 朝からドキドキが止まらなくて、寝不足気味だったのに、すっごく元気に歩けたのは、きっとおにいたんが隣にいたからだよね。黒い上着と赤い短パンで張り切って出発したけど、どんどん登っていくうちに汗がいっぱい出てきて…あの時、おにいたんが麦わら帽子をかぶせてくれた時の優しさ、今でも胸がキュンってなる…♡
最初、ちょっとカッコつけちゃったけど、おにいたんって、本当に私のことを見てくれてるんだなって思ったんだ。汗で上着がベタベタになっちゃった時に、白いTシャツに着替えるって言った時も「大丈夫だよ、無理しないで」って優しく言ってくれて、本当に心があったかくなった。
でもね、おにいたんの隣を歩くと、どうしても「あ、子供っぽいって思われてるかな?」って不安になるの。だって、他の女の子たちはもっと大人っぽくて、魅力的なんだもん。私だって頑張ってるんだけど、おにいたんにはまだまだ追いつけないかな。でも、そんな私を見てくれてるおにいたんだから、もっともっと頑張りたくなっちゃうの!
途中で、川沿いでおにいたんと一緒にお昼ご飯を食べた時のこと、今でも思い出すと恥ずかしくて…。おにいたんが大好きなおにぎりを作ってきたんだけど、緊張して少し崩れちゃって、すごく恥ずかしかった。でも「すごく美味しいよ!」って笑顔で言ってくれて、あの時の顔、忘れられないなぁ。なんでこんなに優しいの?こんなに優しいから、ますます好きになっちゃうじゃん…♡
それに、山頂に着いた時の景色、本当にすごかった。おにいたんが「ユリシア、すごく頑張ったね」って言ってくれた瞬間、嬉しすぎて涙が出ちゃったんだ。でも、その涙を見たおにいたんがびっくりしてて、私も笑っちゃった。だって、涙なんかじゃなくて、これは幸せの証拠だったんだもん。山頂で感じた風の爽やかさと、おにいたんの温かさが、今日の私を包んでくれたの。
そして、そして!最後のサプライズ…♡ すごく緊張したけど、おにいたんのほっぺにチュッってした時、私の心臓が飛び出しそうだった!おにいたんのびっくりした顔が最高に可愛かったけど、私も赤くなって、なんだか照れちゃって…でも、やっぱり勇気を出してよかったなぁ。おにいたんが「ありがとう、ユリシア」って微笑んでくれたその瞬間、私の中の何かが確信に変わったの。
今日のハイキングは、本当に忘れられない一日になった。おにいたんとの距離が縮まった気がするし、もっともっとおにいたんに甘えたくなっちゃった。でも、いつまでも子供っぽいままじゃいられないよね。次は、もっと大人っぽく、もっとおにいたんに喜んでもらえるユリシアになりたいな…♡
次はどんなデート(授業だけど!)になるんだろう?それまでに、もっとおしゃれな服も準備して、おにいたんをもっとドキッとさせちゃおうっと!でも、焦らず、私らしく、おにいたんに少しずつ近づいていけたらいいな…なんて、思った夜でした♡