台本にない、アドリブの気持ち 2024年11月8日 金曜日 晴れ

雫の日記

もう!今日もあのおっさんが頭から離れない!
いったい私の頭の中で何が起きてるっていうの?!

今日もまた例の「朝のご挨拶タイム」。私が職員室の前を通ると、和先生がいつものようにニコニコしながら「おはよう、雫」って。
…なんで私の名前を呼ぶときだけ、そんな優しい声色になるのよ。意識してるの?意識してないの?どっちなの?!

そういえば、今日の朝礼で和先生が話してた内容、すっごく頭に入ってきて…って、これもまたおかしいでしょ!私、いつからあんたの話にこんなに集中するようになったのよ。

それに今日は、珍しく和先生が私の演技の練習を見かけたみたい。放課後に空き教室で台本を読んでたら、「熱心だね」って声をかけてきて…って、覗き見してたってこと?!失礼じゃない!…でも、ちょっとだけ嬉しかったかも。

あ、でも今日一番イラッとしたのは、ユリシアがまた和先生に甘えてた場面を見たとき!もう、いい年して「おにいたん♡」とか言っちゃって…って、私だって…(消した跡)

それにしても、和先生ってばユリシアの前だといつも優しい顔してるけど、私に対してはちょっと困ったような表情するのよね。まぁ、私がいつも強がった態度とるからだけど…でも、本当は…(消した跡)

あ!そうそう、帰り際に和先生が「雫、最近演技の調子はどう?」って聞いてきたの。珍しく私のことを気にかけてくれて…って、これってもしかして…!
…いや、いや、いや!考えすぎよ、私!きっと単なる教師としての気遣いでしょ。そう、そうに決まってる。

でも…和先生の「頑張ってるね」って言葉、すごく心に残ってる。あんたの一言で、なんでこんなに心が揺れるのよ…。

あーもう!今日の日記もまた和先生のことばっかり!
私ってば、どうかしてる…。明日は土曜日で学院も休みなのに、もう月曜日が待ち遠しくて…って、なんでこんなことまで書いてるのよ私!

週末なのに、なんでこんなにソワソワするんだろ…。
まさか、月曜日が待ち遠しいなんて思ってないわよ!絶対に!

…もう、おやすみ。
和先生…お休…だい…(激しく何度も消した跡の中に、かすかに「す」と「き」の文字が透けて見える)

追伸:
月曜日の朝礼で、和先生はまた私のことを見てくれるのかな…
って書いてる場合じゃないわよ!もう寝る!寝る!!

「お・や・す・み・な・さ・い」
…明日も演技の練習、頑張らなきゃ。