私だけの婚約者!? 〜でもみんなの想いも大切にしたい乙女の胸キュン学院生活〜

第2学年

春風に桜の花びらが舞う放課後の教室。 窓から差し込む夕日が、誰もいないはずの教室の中に、淡くオレンジ色の光の帯を描いていた。

「あれ?みんな、ここで何してるの〜?」

水色の髪をゆらゆらと揺らしながら、ユリシアが教室のドアを開けた。そこには、彼女の大切な友達の姿があった。

「しぃっ!声が大きいわよ!」

雫がピリッとした表情で人差し指を立てる。彼女のブロンドの長い髪が、夕日に照らされて美しく輝いていた。

「まぁ、ユリちゃん。あなたまで来てしまいましたの?」

茉里絵が小さな扇子で口元を隠しながら微笑む。銀色のツインドリルが、彼女の高貴さを一層引き立てていた。

(あれ?なんだか二人とも変な感じ…)

ユリシアは首を傾げて二人の様子を観察した。いつもの雫なら、もっとツンツンしているはず。茉里絵も、こんなに落ち着きがない様子は珍しい。

「ごめんね〜♪」ユリシアは笑顔でその場の緊張を和らげようと、くるりと回って椅子に座った。「最近、みんな元気ないなって心配してたの。何かあったの?」

二人の視線が絡み合う。

「え?え?何でもないわよ!」雫が少し慌てた様子で髪を触る。「た、ただの女子会よ!」

「そうですわ!淑女として、日々の出来事を…」茉里絵の声が小さく震えている。

(うそだ…二人とも明らかに何か隠してる…)

その時、教室のドアが再び開いた。

「あら、みなさん。まだ帰らないのですか?」

体育教師である渚先生が顔を覗かせる。黒髪のロングヘアと引き締まった体つきが、彼女の健康的な美しさを引き立てていた。

「渚先生も来た!これでみんな揃ったね!」

ユリシアは無邪気に手を叩くが、その瞬間、他の三人の表情が微妙に凍りついたのを見逃さなかった。

(うん…やっぱり、これって…おにいたん♡のことだ)

「あの…実は私、みんなに話したいことがあるの」

ユリシアは決意を固め、立ち上がった。桜の花びらが再び窓から舞い込み、彼女の周りを優しく舞う。

「ユリシア…?」雫が真剣な表情になる。

「何かあったのですか?」渚先生も心配そうに近づいてくる。

「私…もう隠せないの」ユリシアは深呼吸して、胸の内に秘めていた秘密を打ち明ける覚悟をした。「実は…私、おにいたん♡と婚約してるの」

一瞬、教室内に静寂が広がった。

「…え?」雫の声が、壊れた人形のように小さく漏れる。

「婚約…ですって?」茉里絵の扇子が床に落ちた。

「いつから…?」渚先生の声に、かすかな震えが混じる。

ユリシアは頬を赤らめながら、去年の10月15日から婚約していること、そしておにいたん♡が「卒業するまでは秘密に」と言ったことを説明した。

説明を終えたユリシアの前で、三人はそれぞれの方法で動揺を隠そうとしていた。雫は窓の外を見つめ、茉里絵は落とした扇子を拾おうとして震える手を隠し、渚先生は壁に寄りかかり深呼吸をしていた。

「証拠…見せてもらえる?」

雫の声は、いつもの強気な調子とは違って、どこか弱々しかった。

「うん」

ユリシアは胸元からきらりと光るペンダントを取り出した。

「おにいたん♡がくれたの。裏には『Y&N Forever』って刻まれてるよ…」

ペンダントが雫の手に渡り、彼女の指が震えながら裏面を確認する。一瞬、雫の目に涙が浮かんだように見えた。

「そう…なんだ…」

彼女は何も言えず、ただペンダントをユリシアに返した。

「実は…」ユリシアは胸の奥にある本当の気持ちを伝えようと決意した。「みんなの様子を見てて前から気づいてたの。もしかして…みんな、おにいたん♡のこと好きなのかなって」

三人の表情が凍りついた。

「私…正直に言うとね」ユリシアは目に涙を浮かべながらも、優しく微笑んだ。「最初は少し嫉妬しちゃったよ。だって、おにいたん♡は私の大切な人だもん」

そっと自分の胸に手を当てる。心臓の鼓動が早くなるのを感じながら。

「でも、考えてみたら…みんなは私の大切な友達。みんなが素敵なおにいたん♡を好きになるのも当然だって思ったの」

「ユリシアさん…」渚先生の声が震える。

「それに気づいたら、なんだか嬉しくなっちゃった」ユリシアは純粋な笑顔を浮かべる。「私の大好きな人を、みんなも大好きだなんて。それって、素敵なことだよね」

「でも…婚約しているのでしょう?」茉里絵が震える声で尋ねる。

「うん。でもね、おにいたん♡が『卒業するまでは秘密に』って言ったのには、意味があると思うの」

ユリシアの頭に、ある考えが浮かぶ。おにいたん♡は自分にも優しいけど、他の人にも優しい。そして、もしみんなも彼のことを想っているなら…。

「おにいたん♡は、みんなのことも大切に思ってるから…って私は思うの」

ユリシアの言葉に、三人の表情が少しずつ和らいでいく。

「だから私、提案があるの!」ユリシアは両手を広げる。「私たちが卒業するまでの2年間、みんなそれぞれがおにいたん♡との素敵な思い出を作ろう!そして卒業する時に、おにいたん♡の本当の気持ちを聞いてみよう!」

「え?」雫が驚いて目を丸くする。「あんた…本気?」

「うん!」ユリシアは胸に手を当てて力強く頷く。「だって、みんなの笑顔も大切だもん。私だけが幸せになっても、みんなが悲しい顔するなら…それは嫌だな」

ユリシアの胸の内には、複雑な感情が渦巻いていた。おにいたん♡を独り占めしたい気持ち。でも、大切な友達の幸せも願う気持ち。その狭間で揺れる心を抱えながらも、彼女は純粋に笑顔を向けた。

「ユリちゃん…」茉里絵の目に涙が浮かぶ。「あなたの優しさに感服いたしますわ」

「ユリシアさん…」渚先生も柔らかな表情になる。「あなたは本当に素晴らしい心の持ち主です」

 

「よーし!」雫が決意を固める。「じゃあ決まり!卒業までの間は、みんなそれぞれが精一杯頑張るってことで!」

「でもね!」ユリシアが人差し指を立てる。「おにいたん♡を困らせちゃダメだからね!みんなに優しくしてくれてる、あの優しいおにいたん♡が悲しむようなことはしないでね」

「そりゃそうよ」雫も少し照れながら同意する。

「あと、結果がどうなっても…私たちは友達のままでいようね?」ユリシアは少し不安げに尋ねる。

「もちろんですわ」茉里絵が上品に微笑む。

「ええ、約束します」渚先生も穏やかに頷く。

「絶対よ!」雫も珍しく素直に同意した。

その時、廊下から足音が聞こえてきた。

「あ!誰か来る!」ユリシアが小声で言う。

「この話、絶対に内緒よ!」雫が急いで立ち上がる。

「もちろんですわ」茉里絵も身繕いをする。

「では、明日からもよろしくお願いします」渚先生が礼儀正しく頭を下げる。

「うん!明日から、みんなでおにいたん♡との素敵な思い出を作っていこうね!」ユリシアは両手を高く掲げる。

窓から差し込む夕日に照らされた教室に、新たな誓いが交わされた。桜の花びらが再び舞い込み、四人の少女たちの上に優しく降り注ぐ。

ユリシアの胸の中にあるのは、少し切ない気持ち。でも、それ以上に大きな希望と安心感。

(おにいたん♡…私、みんなの気持ちも大切にしたいの。だけど、私の気持ちも忘れないでね)

彼女の心の中で、小さなヤキモチの炎と、友達への深い愛情が、不思議と美しく調和していた。

四人の乙女の本音日記 〜秘密の独白〜 💖

✿ ユリシアの本音 ✿

もう〜!!なんか胸がキュンキュンしすぎて爆発しちゃいそう〜〜〜(≧◡≦)♡

私、みんなに秘密打ち明けちゃった…!おにいたん♡との婚約のこと…!(´ω`)ドキドキ

正直、みんなが「おにいたん♡のこと好き」って分かった時は、ちょっとだけ…うん、ほんのちょっとだけだよ?ヤキモチ焼いちゃった!!(つд⊂)エーン

だって〜、おにいたん♡は私の大事な人なんだもん!小さい頃からずっと一緒で、あの雷の日に抱きしめてくれて、あったかくて、優しくて…あぁもう思い出すだけで顔熱くなっちゃう〜〜ヾ(≧∀≦*)ノ〃

でもね、ふと思ったの。雫ちゃんのキラキラした目、まりちゃんの上品な微笑み、渚先生のドキドキした表情…みんなおにいたん♡のこと、本当に大好きなんだな〜って😌💕

そう思ったら、なんだか嬉しくなっちゃった!おにいたん♡の良さ、私だけじゃなくて、みんなにも分かるんだもん!それって素敵なことだよね〜✨

でも…でもね…(´・ω・`)…これだけは本当の本当の秘密…✨ おにいたん♡が最後に選ぶのは、絶対私だよね…?そうだよね…? だって私たち、約束したもん…あの指輪に込められた想い…✨

ううん!!みんなの気持ちも大切!でもね、おにいたん♡と結ばれるのは私!これだけは譲れないの!(๑•̀ㅁ•́ฅ✧

それまではみんなで仲良く、おにいたん♡との思い出作ろうね!でも私だけの特別な思い出もいっぱい作るんだから!えへへ〜♡(´˘`)♡

…あ!でも明日からのお弁当、もっとハート型にするべきかな?それとも、おにいたん♡の好きなおかず増やそうかな?うんうん、作戦会議しなきゃ!ˉ̞̭(′͈∨‵͈♡)˄̻ ̊

おにいたん♡大好き!みんなのこともだーいすき!これからもよろしくね〜!(●´□`)♡

✿ 雫の本音 ✿

くっそ〜〜〜!!!!マジでなんなのよ!!!!!(>д<)

あのユリシア…婚約だって!?しかも”おにいたん”と!? もう頭の中グルグルしてんの!💢

なんで…なんでよ…(p′︵‵。) 私、頑張ってたのに…グラビアの仕事だって、妹のためにも頑張ってたし…あの…和…和先…

ちっ、もう!あのおっさんのことなんか…別に…😭😭😭

………………ぶっちゃけ、私マジでショック。自分でもビックリするくらいショック……マジでヤバい…胸が痛い…(;_;)

でもユリシアのこと、憎めないんだよなぁ…あんな純粋な目で「みんなの気持ちも大切にしたい」とか言われたら…バカじゃない?誰がそんなの信じるのよ!!…って思ったのに…

あいつ…マジで本気で言ってるの、わかっちゃった…😢

だから余計に腹立つ!!!!優しすぎなんだよ!!!!(ノ`Д´)ノ彡┻━┻

「卒業までの2年間」…か……はぁ〜(; ̄Д ̄)

あー!でもマジで諦めてないからね!?絶対に! 和先生の目、もっと釘付けにしてやる!女優としてのプライドにかけて!!(•̀ᴗ•́)و ̑̑

…………あのね、本当は……(┐「ε:)

和先生が初めて私のこと「あなたは素晴らしい才能を持ってる」って言ってくれた時…初めて心から褒められた気がしたの。パパからもママからも、そんな風に言われたことなかったから…

だから…だから…私……和先生のことが…………大好き……💕

って、なにこの日記!?誰が読むと思ってんの!?自分に酔ってんじゃないわよ!ヽ(`Д´)ノ

まぁいいや!これからが勝負よ!ユリシアにも負けない!渚先生にも茉里絵にも絶対負けないんだから!!!

和先生…私のこと、ちゃんと見ててね……?(。•́︿•̀。)💘

✿ 茉里絵の本音 ✿

まぁ…まぁまぁまぁ…なんと言えばよろしいのでしょうか…(;´Д`)💦

淑女たるもの、感情を露わにするのは控えるべきですのに… でも今日だけは…特別ですわ…φ(゜▽゜*)♪

和先生と…ユリちゃんが…婚約…ですって…?(*´Д`*) 初めて聞いた時、心臓が止まるかと思いましたわ…💔

実家からの望まない婚約話に悩まされていた私にとって、和先生は…理想の存在でしたの…✨ あの穏やかな笑顔、優しい眼差し、そして知的な会話…(´。✪ω✪。`)

家の事情なんて知らない人…私を単なる”名家の令嬢”じゃなく、一人の女性として見てくれる人…(*ノωノ)

でも…ユリちゃんの純粋な気持ち…それを否定できるほど、私は強くありませんわ…(;ω;)

しかも!あの可愛らしい仕草で「みんなで頑張ろう♡」なんて…! もう…ユリちゃんったら…少しずるいですわよね…?!(๑•̀ㅁ•́ฅ✧

実は…私、胸のサイズばかりが目立って… 和先生に「頭脳明晰な茉里絵さん」と言われた時、初めて心から嬉しかったんですの…✨

ファザコン気味と自称していますが…本当は…ただ…理解してくれる人が欲しかっただけ…(ノ_<。)

でも!淑女の誓いとして! 「卒業までの2年間」…精一杯、和先生に私の魅力をお伝えしますわ!💕 和服の着付けも、お茶のたしなみも、そして…ふふふ…胸のサイズも武器にしちゃいますわよ〜!(´艸`

なんて言ってる場合ではありませんわね…自分に恥じる発言…💦 …でも本当の気持ちですの…(*ノωノ)

和先生…どうか私のことも、少しだけ…見ていてくださいませ…💖

✿ 渚先生の本音 ✿

はぁぁぁぁ……( ´△`) 今日の出来事が夢だったらいいのに…でも現実…💦

和先生と…ユリシアさんが婚約…? 学生だった頃から想い続けてきた人が…(ノ_・。)

筋トレで鍛えた体なのに…なぜかヘナヘナと力が抜けて…(。•́︿•̀。) あんなに腕立て伏せを頑張ったのに…心は守れないなんて…

ユリシアさん…純粋で可愛らしくて…そして優しすぎて… 「みんなで和先生との思い出を作ろう」なんて…そんな提案…💕

泣きたいのに…教師として泣けなくて… 生徒の前では笑顔でいなきゃいけなくて…(。•́︿•̀。)

でも学生時代、保健室で倒れた私を抱えて運んでくれた時の和先生の温もり… 「強くなれ」って言ってくれた言葉…私、忘れられないんです…!!!(´;ω;`)

だから…こんなに体を鍛えたんです…! もう二度と…誰かに抱えられる弱い自分じゃなく… 今度は私が和先生を守れるような強い女性になりたくて…!(`・ω・´)ゞ

腕立て伏せ100回!腹筋200回!スクワット150回! 筋肉は裏切らない!でも…恋心は…裏切るんですね…(ノω・、)

和先生…あなたの「強くなれ」という言葉が、こんなに長く私の心に残るなんて… あなたは想像していなかったでしょうね…( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )

でも…まだ諦めません!!! 「卒業までの2年間」…私も頑張ります!! 教師として、一人の女性として…💪✨

そして、何より…ユリシアさんの優しさを無にしないように… みんなで素敵な思い出を作りながら…でも密かに…和先生の心を掴みにいきます…!

和先生…あの日の約束…覚えていてくださいね…💕 私はずっと…あなたのそばにいます…(´ω`)♡