ため息と、一筋の光と(第2学年編・30)

和先生と学ぶ♡淑女の簿記検定物語第2学年
2025年10月21日(火曜日) 夜遅く

【グループチャット・ひみつのおしゃべり部屋】

雫

…はぁ

雫

茉里絵
茉里絵

雫さん?どうかなさいましたの?

雫

別に…。なんでもない

ユリシア
ユリシア

雫ちゃん、元気ないねー!もしかして、金曜日のこと考えてる?

雫

…うるさい

柚羽
柚羽

こんにちは…皆さん…

柚羽
柚羽

私も、金曜日のことを考えると、胸が苦しくなります…。結果を見るのが、本当に怖いです…

茉里絵
茉里絵

柚羽さん…

ユリシア
ユリシア

もーっ!二人とも、まだ結果も出てないのにそんな暗い顔しないの!ほら、笑って笑って!

ユリシア
ユリシア

(両手でほっぺを引っ張って無理やり笑顔を作っているひよこのスタンプ)

雫

…あんたに私の気持ちがわかんのかよ。2級のあの連結精算表、マジでヤばかったんだから…

柚羽
柚羽

私なんて、3級なのに、ほとんどパニックで…。雫先輩に教えていただいたのに、本当に申し訳ないです…

ユリシア
ユリシア

うーん…そっかぁ…

ユリシア
ユリシア

……あっ!そうだ!

ユリシア
ユリシア

みんな、聞いて聞いて!暗い話は終わり!先週の水曜日は、なんの日だったか知ってる!?

茉里絵
茉里絵

先週の水曜日…10月15日ですわね。和先生のお誕生日でしたわ

ユリシア
ユリシア

さすがまりちゃん!正解はー!大好きなおにいたん♡のお誕生日でしたー!!

ユリシア
ユリシア

柚羽
柚羽

な、和先生のお誕生日…!私、試験のことで頭がいっぱいで、全然気づきませんでした…

雫

………

ユリシア
ユリシア

私はね!もちろん、ちゃーんとお祝いしたんだから!腕によりをかけて、おにいたん♡の顔を描いた、特製の愛情たっぷりオムライスを作ってあげたの!「ユリシアは世界一のお嫁さんだな」って、頭を撫でてくれたんだよー!えっへん!

茉里絵
茉里絵

まあ、ユリちゃん、素敵ですわね。私は、お父様と一緒に選んだ、書き心地の良い万年筆を贈らせていただきましたの。とても喜んでくださったわ

雫

……万年筆…

ユリシア
ユリシア

雫ちゃんと柚羽ちゃんは?何かあげた?

柚羽
柚羽

い、いえ、私は何も…

雫

…………。

雫

どうしよう

雫

…試験の後、私が落ち込んでたら先生は…。「結果がどうであれ、雫が誰よりも努力していたことを俺は知っているから」って、あんなに優しく励ましてくれたのに…

雫

…それなのに、私…先生の一番大事な日を…忘れてた…?

雫

胸が、ズキンと痛む。何やってんのよ、私…!最低…!

雫

…私も、何も。…試験勉強と仕事で、それどころじゃなかったし

(渚が参加しました)

渚

皆さん、こんにちは。何やら楽しそうな話をしていますね

ユリシア
ユリシア

あ、渚先生!こんにちはー!今、先週のおにいたんの誕生日の話をしてたんです!先生は、和先生に何かプレゼントしたんですか?

渚

ふふ…。プレゼント、というほどのものではありませんが…

渚

生徒の皆さんが帰られた後、放課後の職員室で…ささやかながら、お祝いをさせていただいただけですよ。とても、静かで…素敵な時間でした

茉里絵
茉里絵

まあ、放課後の職員室で…?なんだか、秘密のお祝いみたいで素敵ですわね。

ユリシア
ユリシア

……職員室で、ですか。ふぅん…

ユリシア
ユリシア

二人っきりで、一体どんなお話をされてたんですか?もちろん、お仕事の話…ですよね?

ユリシア
ユリシア

雫

…………。

渚

え、ええ…。ええ、そうよ。二人とも、あなたたちのことが気になっていましたから…。少しだけ、ね。

…そういえば雫さん、まだ少し元気がないように見えますが、大丈夫ですか?

雫

…別に

ユリシア
ユリシア

こらー!雫ちゃん!

渚

いえ、いいんですよ。…今はみんな、不安な時期ですものね。でも、結果が出るまでは、自分を信じてあげなさい。あなたたちが頑張ってきたことを、私は知っていますから

柚羽
柚羽

渚先生…。はい…!

茉里絵
茉里絵

そうですわね。今は、静かに金曜日を待ちましょう

ユリシア
ユリシア

うん!そうだね!もしダメでも、またみんなで頑張ればいいんだもん!ねっ!

ユリシア
ユリシア

…職員室?二人きり??渚先生とっ…!!!!

私が〝婚約者〟として、おにいたん♡のためにオムライスを作ってあげてる間に、抜け駆けするなんて…!
あの場所は私の知らない大人の聖域…?ダメ、絶対ダメ!先生に、おにいたん♡の隣をこれ以上渡したりしないんだから!
金曜日が終わったらすぐにおにいたんに確認しなくちゃ…!ウォーキングデートのことを問い詰めた時みたいに…!

雫

………

雫

…あんたたち、…ありがと

雫

もじもじ

雫

…「静かで素敵な時間」、ね。

…アンタが和先生とそんな甘い時間を過ごしている間に、こっちはボロボロだった…。誕生日も祝えなかったし…。今は完敗かもしれない

雫

…でも…

雫

「結果がどうであれ、雫が誰よりも努力していたことを、俺は知っているから」…か

雫

…絶対、渚先生なんかに負けない。和先生は、私のことを人一倍見ててくれてるんだから…!