きらきら輝く真昼の海岸線、太陽が水面をまぶしく照らす夏の日…。人けのない小さな入江の砂浜で、アオは手足をもじもじさせながら座っていました。

「う、うぅ…本当にここでやるなんて…」
アオの銀色の髪が海風に揺れ、頭に付けた白いバニー耳がふわりと揺れます。身に着けているのは、純白のスカート付きビキニ…2カ月前、お兄様が「アオちゃんに一番似合うね」と特別に褒めてくれた大切な水着。
胸元に手を当てながら、アオは小さくため息をつきました。いつもならビキニなんて絶対に着られないのに…。だって、アオには人には言えない秘密があって…。

「私の胸…若いのに垂れちゃってるなんて…誰にも見せられない…」
アオは胸元のコンプレックスを隠すように、少し体を丸めました。三つ子の妹として同じ悩みを持っているはずなのに、姉たちのように堂々としていられない自分が情けなくて…。そんな気持ちが彼女をさらに内気にさせていました。
『アオったら、まだビクビクしてるの?私なんてとっくにお兄様に「大好きです!」って言っちゃったよ〜♪ 私たちの胸のこと、気にしないって言ってくれたもんね〜!』
2カ月前、この島で遊んだ時のヒナ姉の言葉が頭をよぎります。明るく活発な長女は、何の躊躇いもなくお兄様に想いを伝えてしまう勢い…。そして同じ悩みを抱えながらも、堂々としていられる強さ…。
『ふん、私だって「別にアンタのことなんか…」って言いながらも、ちゃんとアピールはしてるわよ!アオには真似できないでしょうけど。それに、お兄様は私たちみたいな体型でも気にしないって言ってくれたのよ』
次女カナの高飛車な声も蘇ってきます。いつもクールなフリをしているけれど、お兄様の前では頬を赤らめるツンデレな姉…。三つ子なのに、なぜかアオだけが一番悩みを深く抱えこんでしまう…。

「でも…お兄様は…」
アオは2カ月前の、あの時の言葉を思い出していました。海辺で遊んだ帰り、偶然二人きりになった時のこと―

「アオちゃん、どうして自分を隠すの?」
突然のお兄様の質問に、アオはびっくりして答えられなかった。

「三つ子の中で、アオちゃんだけがいつも自分に自信がないように見えるんだ」

「そ、それは…私…体のことで…悩みがあって…」
言葉に詰まるアオに、お兄様はとても優しい笑顔を向けてくれた。決してハンサムとは言えない、少し丸みを帯びた顔立ち。でも、その瞳には人を包み込むような温かさがあった。

「どんな悩みも、アオちゃんはアオちゃんのままでいいんだよ。今のままのアオちゃんが、僕は素敵だと思うよ」
その言葉が、アオの胸に深く刻まれていました。醜いコンプレックスを抱えたままの自分を…そのまま受け入れてくれた。

「今日こそは…勇気を出さなきゃ…」
アオは小さな勇気を振り絞って、ビデオチャットのボタンを押しました。
♪ちゅるりら〜ららん♪
可愛らしいメロディが流れる間、アオの心臓は小さな小鹿のように跳ね回ります。真昼の太陽が照りつける中、砂浜は熱くて足の裏がちくちくします。

え、えっと…お兄様、ちゃんと出てくれるかな…。お仕事中だったり、忙しかったら出られないかも…。あ、でも…もしお兄様がヒナ姉やカナ姉と既に親しくしてたりしたら…?うぅ、そんなの絶対ダメ!!お兄様は私の…私だけのお兄様なんだからっ!!
不安でふるふると震えながら、アオは小さく唇を噛みます。すると…

「もしもし?アオちゃん?」

「きゃぁっ!」
突然画面に映し出されたお兄様の顔に、アオは思わず小さな悲鳴を上げました。グレーがかった地味な髪、少し大きめの鼻、決して整っているとは言えない顔立ち…でも、その優しい目元と穏やかな笑顔は、アオにとって世界で一番の「イケメン」でした。

「お、お兄様…!ご、ごめんなさい、突然…」

「いや、久しぶり!元気にしてた?」
お兄様の優しい笑顔に、アオの顔がどんどん熱くなります。

「は、はい…!お兄様こそ…お元気でしたか?2カ月も…連絡なくて…」
アオは上目遣いでお兄様を見つめながら、少し拗ねたような表情を浮かべます。そして、バスタオルを胸元にそっと押さえる仕草は、彼女のコンプレックスを物語っていました。

「ごめんね、本当に…仕事が忙しくて…」

「ヒナ姉とカナ姉には…連絡してたんですか…?」
思わず口をついて出た言葉に、アオは自分でもびっくり。こんな直球な質問、普段の自分ならできないのに…。

「え?いや、みんなにしばらく連絡できてなかったよ」

「ほ、本当ですか…?ヒナ姉が『お兄様とは毎日連絡取ってるよ〜』って…カナ姉も『私だけに特別なLINEしてくれるって約束してるんだから』って…」
アオはほっとした表情を見せつつ、でもまだ少し疑り深い目でお兄様を見つめます。

「本当だよ。二人とも少し言い過ぎかもね」
お兄様はくすっと笑いながら、画面越しにアオを見つめ返します。

「アオちゃん…その格好と場所は…?」

「あ、あの…実は…今…」
アオは小さく深呼吸して、カメラを少し引きました。純白のスカート付きビキニとバニー耳という大胆な姿が映り込みます。でも、バスタオルは胸元にしっかりと当てたまま…。

「わ、私…今…あの時のビーチにいます…!お兄様と一緒に来た…あの時…お兄様が…私のこと…受け入れてくれた場所…」
アオは真っ赤な顔で砂に足跡をつけながら、もじもじと体を揺らします。白いフリルのスカートがふわりと風に揺れる様子が画面に映り込みます。

「えっ…あの島?どうして…?」

「そ、それは…」
アオは顔を両手で覆い、指の隙間からだけお兄様を見つめます。

「お兄様…に、会いたかったから…。お兄様だけが…私のありのままを…受け入れてくれたから…」
アオの声には、周りの誰も知らない特別な秘密を共有している二人だけの絆が感じられました。

「ヒナ姉は『お兄様、アオのことより私の方が好きみたい〜』って意地悪言うし…カナ姉は『私の方が先にデート約束してるわよ』って自慢してくるし…でも、お兄様は…私たちのコンプレックスを…そのまま受け入れてくれた…」
アオの目に小さな涙が浮かびます。濡れた睫毛がまばたきするたび、しずくが頬を伝います。

「初めて…自分のままでいいって…言ってくれたのは…お兄様だけ…」
アオの言葉には、お兄様への深い信頼と愛情が溢れていました。容姿より、彼女の心と悩みをそのまま認めてくれた人への気持ち…。

「アオちゃん…」
お兄様の声には、アオへの特別な思いやりが感じられました。

「私…お兄様に伝えたくて…」
アオは勇気を振り絞って、少しだけバスタオルを下げました。完全には見せないけれど、少しだけ心を開く…そんな大きな一歩。

「お兄様…私…コンプレックスだらけで…内気で…何にもできなくて…でも…でも!」
アオは小さな拳を握りしめて、珍しく強い調子で言いました。

「私だって…お兄様のこと…好きなんです…!姉さんたちより…もっと前から…!」
告白した瞬間、アオは恥ずかしさのあまり砂浜に突っ伏してしまいます。スマートフォンは砂の上に。画面には青空と、少しだけアオのバニー耳が映っています。

「アオちゃん?大丈夫?」
お兄様の心配そうな声に、アオはゆっくりと顔を上げました。砂が少しだけ頬についています。

「わ、私…恥ずかしくて…でも…本当のことなんです…!お兄様だけが…醜い私を…そのまま受け入れてくれて…」
アオはスマホを拾い上げ、今度は海を背景に座り直しました。青い海と白いビキニのコントラストが鮮やかです。

「お兄様…2カ月前、ここで一緒に遊んでくれて…この水着も『アオちゃんに一番似合うね』って言ってくれて…私のコンプレックスも受け入れてくれて…それが、すごく嬉しくて…」
アオは水着のスカート部分を少しいじりながら、モジモジと体を揺らします。バニー耳がゆらゆらと揺れる様子が画面に映ります。

「でも…ヒナ姉もカナ姉も、私より積極的で…私、自信なくて…でも!」
アオは小さな拳を握りしめて、珍しく強い調子で言いました。

「私だって…お兄様に負けない気持ちがあるのに…二人だけずるい…!お兄様の優しさを独り占めしようとして…!」
そう言って、すぐに恥ずかしくなったように顔を赤らめます。

「あ…ご、ごめんなさい…こんな風に言うつもりじゃ…」

「アオちゃん…」
お兄様の声には、驚きと、少しだけ嬉しさが混じっていました。

「ごめんね、連絡できなくて。本当に忙しかったんだ…でも、そんな気持ちでいてくれたなんて…」

「お兄様…!」
希望が芽生えたアオの目が、夏の海のように輝きます。

「でも、アオちゃん。ヒナちゃんもカナちゃんも、みんな同じ悩みを抱えてるけど、それぞれ頑張ってる。アオちゃんも自分の良さを…」

「も、もう!またそうやって…!」
アオは珍しく唇を尖らせて、拗ねたような表情を見せます。

「いつもそうです!お兄様はいつも『みんな大切』って言うけど…私は…私だけが特別だって…思いたい…」
そう言いかけて、自分の大胆さに驚いたように目を丸くします。

「あ…ご、ごめんなさい…調子に乗っちゃって…醜い私が…こんなこと言えるはずないのに…」

「アオちゃん」
お兄様の声が、少し強くなりました。

「もう一度言うよ。アオちゃんは醜くない。今のままのアオちゃんが素敵なんだ。そしてアオちゃんの気持ちも、とても嬉しいよ」

「ほ、本当ですか…?」
アオは少しずつ自信を取り戻したように、カメラに近づきます。

「お兄様…わ、私…もし良かったら…また…一緒に…このビーチに…」
アオはモジモジしながらも、期待に満ちた瞳でお兄様を見つめます。

「うん、喜んで。今度行くよ」

「ほんとうに…?姉さんたちも…一緒ですか…?」
アオの問いかけには、ほんの少しだけ嫉妬と期待が入り混じっています。

「それは…アオちゃんはどうしたい?」
この意外な質問に、アオは目を丸くします。頬を染めながら、おずおずと言葉を紡ぎます。

「わ、私は…その…二人きりで…」
言葉に詰まったアオは、思わず両手で頬を覆いました。でも今度は、指の隙間からしっかりとお兄様を見つめます。

「お兄様と二人きりで…デート…したいです…!醜い私と一緒でも…いいですか…?」

「アオちゃん、もうそんな言葉は使わないで。君は素敵だよ」
お兄様の言葉は優しいけれど、強い意志を感じさせます。

「二人きりで、会いに行くよ。約束する」

「ほ、本当ですか…!?ヒナ姉やカナ姉みたいに可愛くなくても…胸のこと気にしちゃっても…?」
アオは少し申し訳なさそうに、でも期待に胸を膨らませています。

「うん、アオちゃんはアオちゃんのままでいい。そんなアオちゃんと一緒にいたいよ」

「はい…!」
嬉しさのあまり、アオは思わず立ち上がって小さくジャンプしました。その瞬間、バスタオルが落ちてしまいます。

「ぴょん♡」

「きゃぁ!」
自分の体が露わになったことに気づいて、アオは慌てて座り直し、バスタオルをまた胸元に当てます。スカート付きビキニのフリルがふわりと揺れます。

「ご、ごめんなさい…!今のは…!忘れてください…!」
アオの焦った様子に、お兄様は優しく微笑みます。

「忘れられないよ。アオちゃんのバニージャンプ、とっても可愛いから。それに、アオちゃんの体も、今のままで素敵だよ」

「お、お兄様…!」
アオは砂の上にスマホを置き、顔を両手で覆いながらごろんと横になってしまいました。画面には青空と、転がるアオの姿が小さく映ります。

「あの…もう…恥ずかしいです…!でも…嬉しい…です…」
その様子があまりにも愛らしくて、お兄様は思わず笑ってしまいました。

「アオちゃん、そろそろ日差しが強くなってきたね。日焼けしないように気をつけて」

「あっ…!」
アオはスマホを拾い上げ、もう一度お兄様の顔をしっかり見つめます。

「お兄様…本当に…来てくださいますか…?姉さんたちより…私を選んでくれますか…?」
アオの問いかけには、不安と期待が入り混じっています。

「アオちゃんは特別だよ。必ず会いに行くからね」

「ほ、本当ですか…!やった…!」
アオの顔が、まるで太陽のように輝きます。嬉しさのあまり、思わず砂の上に小さなハートを描きます。

「あの…最後に一つだけ…!」
アオは小さく深呼吸して、カメラに顔を近づけました。

「お兄様…す、好きです…♡ 姉さんたちより…ずっとずっと…!外見なんかじゃなくて…お兄様の優しさが…大好きです…!」
そう囁くと同時に、アオは画面にちゅっと唇を寄せました。まるで小さなキスをするように…。

「きゃっ!わ、私…なにしてるんだろ…!」
慌てて顔を引くアオの頬は、夏の太陽よりも赤く染まっています。

「じゃ、じゃあ…またね…!お兄様…!」

「うん、またね、アオちゃん。デートの日、楽しみにしてるよ」
通話が終わった後、アオは砂浜に大の字になって横たわりました。青空の下、波の音を聞きながら、アオは小さな声で呟きます。

「お兄様…私…ヒナ姉もカナ姉にも…負けません…♡ 私のありのままを…受け入れてくれて…ありがとう…」
そっと胸に手を当て、アオはまるでバニーのように小さくジャンプします。

「ぴょん♡ お兄様、大好き…♡」