すれ違う運命、結ばれる友情:茉里絵とユリシアの心の邂逅 2024/10/19

茉里絵のグラビア事始め茉里絵の日記

ユリシアが角を曲がった瞬間、勢いよくお店から出てきた茉里絵にぶつかってしまった。

「きゃっ、ごめんなさい!」

ユリシアは驚いて慌てて謝るが、茉里絵は少し不機嫌そうに口元を歪めていた。しかし、その表情の裏に、どこかためらいと困惑が隠されているのが、ユリシアにはぼんやりと感じ取れた。

「どこを見て歩いているのですか、まったく…」

茉里絵の声にはいつもの高飛車な響きがあったが、その後すぐに足を止め、じっとユリシアを見つめた。目の奥には、何かを思いつめたような影が見え隠れしていた。

「あなた…ユリシアさん、でしょ?」

意外な問いかけに、ユリシアは少し戸惑いながらも頷いた。

「そうですけど…何か?」

「少し、お話できるかしら。時間、ある?」

その言葉に、ユリシアは一瞬驚いた。学院では有名なお嬢様、橘茉里絵が、自分に話しかけてくるなんて。さらに、不安げで弱々しい響きが、これまで見てきた彼女の堂々とした態度とは明らかに違う。何か事情があるのだろうと感じたユリシアは、彼女の誘いに応じることにした。

カフェに座り、二人は向かい合っていた。茉里絵はためらうようにカップを手に取り、少し口に含んだ後、ようやく重い口を開いた。

「……私、ずっと強がって生きてきたの。家のために、家族のために、そして周りの期待に応えるためにね。でも、もう限界なの」

ユリシアは、茉里絵の声が震えていることに気づいた。いつも完璧に見える彼女が、こんなにも心の中で苦しんでいるなんて、思いもよらなかった。

「家の事情で、私、好きでもない殿方と結婚することになっているの。橘家の娘としての責務だって、分かってる。でも…」

茉里絵の瞳には涙が浮かんでいた。彼女はこれまでの自分を守るため、強く振る舞ってきたのだと、ユリシアは理解した。

「でも、誰にもこの気持ちを話せなくて。周りの人はみんな、私が高飛車で完璧だって思ってる。それが私を守ってきたんだけど、本当は、こんな風に自由じゃないことに苦しんでるの」

ユリシアは、茉里絵の言葉が自分の心に響くのを感じた。彼女の苦しみは、表面には見えないが、その裏には重い責任や期待がのしかかっていた。

「それで…どうして私に?」

ユリシアは素朴に問いかけた。なぜ、茉里絵が自分にだけこの弱音を吐いているのか、理由が知りたかった。

茉里絵は、少しためらいながらも、静かに微笑んだ。

「あなたがね、いつも自然体だからよ。誰にでも優しくて、偽りがない。それが羨ましかった。私はずっと周りに合わせて作り笑いをしてきたけれど、あなたは、いつも自分らしく生きている。それがすごく…眩しくてね」

その言葉にユリシアは驚いた。自分がそんな風に見られているとは思ってもいなかった。だけど、茉里絵の言葉に嘘は感じられなかった。

「だから…ユリシアさん。もし、私が…友達になりたいって言ったら、受け入れてくれる?」

その問いに、ユリシアは迷わなかった。

「もちろん!私なんかでよければ、ぜひ!」

茉里絵は、初めて本当の笑顔を見せた。それは、これまでの彼女の表情とは全く違っていた。ユリシアも、その笑顔を見て嬉しくなり、二人の間に心の絆ができたことを感じた。

カフェを出て、二人は並んで歩いていた。茉里絵は少し照れくさそうに、でも嬉しそうにユリシアを見つめた。

「これからは、時々こうして話せると嬉しいわ。ユリシアさん…私、少しだけ救われた気がする」

ユリシアは笑顔で頷いた。

「もちろんです!いつでも声をかけてください!」

二人の間には、新しい友情が芽生えていた。

ドキドキの初チャット、そして新しい友情 2024/10/19
車に乗り込んだ茉里絵は、スマホを握りしめながら少し緊張していた。迎えの車の中、静かに走る車の中で、彼女はユリシアに教えてもらったチャットのアカウントを開き、画面...