如月柚羽の日記
2025年12月8日(月曜日)❄️
今日、学院の窓から初雪が見えた。
ふわふわって、まるで小さな羽根みたいに降ってきて……私、思わず授業中なのに見とれちゃった。渚先生に「如月さん、大丈夫?」って心配されちゃったけど……えへへ、ちょっと恥ずかしかったな。
……あのね、日記さん。
10月の簿記検定から、もう2ヶ月近く経つんだね。
あの日のこと……26人中、私だけが不合格だったこと。和先生が「私の力不足だ」って言ってくれたこと。ユリシア先輩と茉里絵先輩が、泣いてる私の背中をさすってくれたこと。
全部、今でもはっきり覚えてる。
でもね、日記さん。
私、もう泣いてばかりじゃいられないって思ったの。
あれから、私はまた勉強を始めた。
雫先輩は、前と変わらず、放課後に勉強を見てくれる。
「アンタ、また同じところで引っかかってる。ほら、ここはこうでしょ」 「は、はい……すみません……」 「謝んなくていいから、覚えて。…次は、絶対受からせるから」
先輩の言葉は、いつもちょっと乱暴で、でも……すごく温かい。
和先生も、私のために補習の時間を作ってくれてる。
「柚羽さん、君の努力は間違っていなかったよ。ただ、本番で力を出し切れなかっただけだ」 「……先生」 「次は絶対に受かる。俺が保証する」
先生がそう言ってくれた時、私……また泣きそうになっちゃった。でも今度は、悲しい涙じゃなくて……嬉しい涙だった。
それからね、日記さん。
私、気づいたことがあるの。
雫先輩が、和先生のことを見る目が……前と違うの。
ハロウィンの時、先輩が「尊敬してる」って言ったこと、私も聞いてた。あの時の先輩の表情、すっごく真剣で、すっごく……綺麗だった。
そして最近、先輩が和先生に手作りのお弁当を渡したって、ユリシア先輩から聞いた。
先輩……本気なんだ。
私ね、雫先輩のこと、大好き。
いつも面倒を見てくれて、怖い時は守ってくれて、泣いてる時は一緒にいてくれる。
先輩は、私にとって……お姉ちゃんみたいな存在なの。
だから、先輩の恋が叶うといいなって、心から思う。
先輩が幸せになれるなら、私……密かに応援するって決めたの。
窓の外では、まだ雪が降ってる。
雪の結晶って、一つ一つ形が違うんだって。でも、どれも綺麗で、どれも特別。
私も、私だけの形で頑張ればいいんだよね。
2月22日の試験まで、あと2ヶ月半ほど。
今度こそ、絶対に受かってみせる。
和先生に「おめでとう」って言ってもらうために。
雫先輩に「やるじゃない」って言ってもらうために。
そして……私自身のために。
……あ、そうだ。
クリスマス、何かプレゼント用意しなきゃ。
雫先輩には何がいいかな……。先輩、甘いもの好きだったよね? 手作りのお菓子とか……でも私、お菓子作り苦手だし……。
うーん、もうちょっと考えよう。
明日も頑張るね、日記さん。
私、負けないから。
だって……私には、応援してくれる人がいるもん。
追伸:今日の勉強時間、3時間半! 明日は4時間目標だもんっ!✨


