「おにいたん♡の家でみんなで年越しそば、食べられるなんて嬉しいな!」
大晦日の夜、和先生の家のリビングには温かな空気が漂っていた。テーブルの上には湯気の立つ蕎麦が並び、ユリシアが誇らしげに腕を組んでいる。
「ユリシアさん、お手伝いありがとうございます」 渚先生が優しく微笑みかける。着物姿の彼女は、普段の鍛え上げられた印象とは違う、柔らかな雰囲気を醸し出していた。
「へぇ…まあまあね」 雫が箸をとりながら、そっと蕎麦を啜る。 「って、これ…すっごく美味しいじゃない!」
「まあ」 茉里絵が上品に口元を押さえる。 「これは素晴らしい出来栄えですわ」
「えへへ…」 ユリシアが嬉しそうに頬を染める。 「おにいたん♡と一緒に作ったから、特別美味しいの!まりちゃんも食べてみて!」
「むっ…」 雫が箸を握りしめる。 「私だってちょっとは手伝ったわよ!玉ねぎ切ったの、誰だと思ってるの!」
「あら、雫さん」 茉里絵が上品に微笑む。 「包丁を持つ手つきが様になっていましたもの。きっと腕を上げていらっしゃるのでしょうね」
「べ、別に…」 雫は顔を赤らめながら、むっとした表情を見せる。 「料理なんて…まだまだよ。でも、いつかは…」 チラリと和先生の方を見やる。
「みなさん、とても仲が良いですね」 和先生が穏やかに微笑む。 「来年もこうして一緒に過ごせたら良いですね。こうやって家族のように集まれるのは、私にとっても大切な時間です」
その何気ない「家族のように」という言葉に、渚先生の表情が一瞬こわばる。
「和先生…!」 渚先生が思わず声を上げる。 「そ、それは…その…私たちのことを、家族のように思ってくださるんですか…?」 顔を真っ赤にして俯いてしまう。家族以上の存在になりたい気持ちを必死に抑えながら。
「渚先生」 茉里絵が扇子で微笑みを隠しながら助け舟を出す。 「お蕎麦、冷めてしまいますわよ」
年越しそばを食べ終わる頃には、外は雪が静かに降り始めていた。窓の外を見やりながら、和先生が立ち上がる。
「随分と雪が降ってきましたね」 和先生が窓際に歩み寄る。 「こんな天気なら、みんな暖かくして行かないと」
「ほら」 和先生がクローゼットから何枚かのマフラーを取り出す。 「これ、使ってください。特に雫は寒がりだったよね」
「なっ…!」 雫が顔を真っ赤にする。 「お、おっさん!私のこと覚えてたの?って…ちょっと!私のこと子供扱いしないでよ!」 強がって言い返すものの、差し出されたマフラーをそっと受け取る手は嬉しさで少し震えている。
「あの…これ…」 渚先生が小さな包みを取り出す。 「みなさんに…カイロ、用意してきたんです。夜は冷えますから…」
「まあ、渚先生ったら」 茉里絵が嬉しそうに受け取る。 「気が利きますのね」
「あ、私からも!」 ユリシアが急いで隣の部屋に駆け出し、可愛らしい風呂敷包みを持って戻ってくる。 「おにいたん♡と一緒に作った和菓子!みんなで食べながら参拝に行こう!」
「いつの間に作ったのよ…」 雫が複雑な表情を浮かべる。 「って、これ…」 手渡された和菓子を見て、思わず目を見開く。 「す、すごく可愛い…」
和菓子は雪うさぎの形をしており、一つ一つが丁寧に作られていた。
「和先生、これ素晴らしいですわ」 茉里絵が感嘆の声を上げる。 「まるで専門店のよう」
「いや」 和先生が謙遜するように手を振る。 「ほとんどユリシアが作ったんだよ。私は横で見ていただけさ」
「おにいたん♡!そんなことないよ!」 ユリシアが頬を膨らませる。 「おにいたん♡が教えてくれたから、こんなに上手くできたんだよ!」
渚先生は和菓子を見つめながら、密かに溜息をつく。 (和先生との、そんな穏やかな時間…私にも…)
準備が整い、五人は家を出る。降り続ける雪は、街灯に照らされてきらきらと輝いている。
「渚先生、その着物、とてもお似合いですわ」 茉里絵が歩みながら声をかける。
「あ、ありがとうございます…」 渚先生は恥ずかしそうに微笑む。 「着付けは母に手伝ってもらって…」
「私も和服で来ればよかったかな」 ユリシアが少し残念そうに呟く。
「気にすることないわよ」 雫が思わず優しい声で言う。 「あんたのそのワンピース、すっごく似合ってるじゃない」
雪の積もった参道を、五人はゆっくりと歩いていく。時折、誰かが雪で滑りそうになると、みんなで支え合う。
「あっ!」 突然、茉里絵が小さな声を上げる。
「茉里絵さん?」 渚先生が心配そうに振り返る。
「あ、いえ…」 茉里絵が頬を染める。 「初詣の願い事を考えていたら、思わず声が…」
「ふーん?」 雫が意地悪く笑う。 「どんな願い事か、聞かせてよ」
「そ、それは…」 茉里絵が扇子で顔を隠す。 「淑女の秘密、ということで…」
「みんな、同じような願い事なのかもね」 ユリシアが意味ありげに微笑む。
その言葉に、渚先生も雫も茉里絵も、思わず顔を赤らめる。和先生はその様子を不思議そうに見つめながら、ゆっくりと歩を進めていく。
夜空から降り続ける雪は、まるで新年への期待のように、それぞれの肩に優しく降り積もっていった。
神社にて ~それぞれの想い~
提灯の明かりが雪の中で柔らかく揺れる参道の先に、神社の鳥居が見えてきた。
「わぁ…」 ユリシアが目を輝かせる。 「おにいたん♡、見て!提灯がきれい!」
「本当だね」 和先生が優しく微笑む。 「この雪と提灯の取り合わせは、とても風情があるよ」
「ふふ、和先生はこういう日本の伝統的な景色がお好きなんですのね」 茉里絵が上品に扇子を開きながら話しかける。
「ああ、そうなんだ」 和先生が懐かしそうに空を見上げる。 「小さい頃から、この神社には毎年来ていてね」
「へぇ…」 雫が思わず興味深そうな表情を見せる。 「って、別にそんなこと知りたくなんかないんだからね!」
渚先生は少し離れた場所から、和先生の横顔を見つめている。着物の袖の中で、そっと手を握りしめる。 (和先生の思い出の場所…私も、その思い出の一部になれたら…)
階段を上りきったところで、ユリシアが突然立ち止まる。
「あ!みんな、待って!」 懐から小さな手鏡を取り出す。 「お参り前に、みんなで身だしなみチェックしましょう!」
「まあ」 茉里絵が嬉しそうに近寄る。 「さすがユリちゃん、気が利きますわ」
「ちょっと!」 雫が慌てて髪を整える。 「急に言わないでよ!」
「雫さん」 渚先生が優しく微笑みかける。 「大丈夫ですよ。とても素敵です」
「べ、別にあんたに言われても…」 雫は顔を真っ赤にしながら、こっそり和先生の方を見やる。
「ほら」 ユリシアが茉里絵の髪に手を伸ばす。 「まりちゃん、ここの雪、可愛く載ってるよ」
「あら」 茉里絵が微笑む。 「ユリちゃんも、襟元に雪が…」
五人で身だしなみを整えていると、どこからともなく除夜の鐘の音が聞こえてきた。
「あ…」 渚先生が空を見上げる。 「もうすぐ新年ですね」
「ねぇ」 ユリシアが突然、みんなの前に立つ。 「お参りの前に、みんなで手をつないでカウントダウンしない?」
「えっ!?」 雫が驚いた表情を見せる。 「そんな子供みたいな…」
「素敵な提案ですわ」 茉里絵が頷く。 「新年を、みんなで迎えましょう」
「私も…」 渚先生が小さな声で賛同する。
「ほら、雫ちゃんも!」 ユリシアが雫の手を取る。
「も、もう…」 雫は抵抗しながらも、密かに嬉しそうな表情を浮かべる。
「和先生も」 茉里絵が上品に手を差し出す。
五人で輪になって立つ中、除夜の鐘は静かに響き続けている。雪は優しく降り続け、提灯の明かりが五人の表情を柔らかく照らしていた。
「10…9…8…」 ユリシアの声に、みんなが少しずつ声を合わせていく。
「7…6…5…」 渚先生は和先生の大きな手のぬくもりを感じながら、目を潤ませる。
「4…3…2…」 雫は強がりながらも、みんなの手をしっかりと握り返している。
「1…」 茉里絵は淑女らしい微笑みの中に、かすかな期待を隠している。
「Happy New Year!」
五人の声が、雪景色の中に響き渡った。
初詣 ~新年の願いごと~
「明けましておめでとうございます」
賽銭箱の前に立った五人。最初に和先生が5円玉を投げ入れ、深々と一礼する。その仕草には、どこか凛とした美しさがあった。
(和先生の横顔…素敵…) 思わず見とれる渚先生。
「おにいたん♡みたいに、私も丁寧にお参りするね!」 ユリシアが和先生の真似をして、きちんとお辞儀をする。
「ふん…」 雫は横目で和先生の所作を盗み見ながら、なるべく自然に振る舞おうとする。 「別にあんたのマネなんかしてないんだからね…」
茉里絵は淑女らしく、しとやかな動作でお参りを済ませる。その姿は、まるで浮世絵から抜け出してきたかのよう。
賽銭を投げ、鈴を鳴らし、深々と礼をする五人。それぞれの胸の内には、言葉にできない想いが溢れていた。
(おにいたん♡との毎日が、もっともっと幸せになりますように…!) ユリシアは目を閉じて、強く願う。
(和先生…私の気持ち、いつか届きますように…) 渚先生は、着物の袖で目頭を押さえる。
(和先生のお気持ちに少しでも近づけますように…) 茉里絵は、扇子を胸に当てながら祈る。
(べ、別にあんたのこと願ってなんかないんだからね!でも…私のこと、もっと見て…) 雫は顔を真っ赤にしながら、心の中で叫ぶ。
お参りを終えた一行が、おみくじ売り場の前で足を止める。
「おみくじ、引いてみない?」 ユリシアが嬉しそうに提案する。
「まあ」 茉里絵が上品に微笑む。 「新年の運勢、気になりますわね」
「ふん、そんな迷信…」 雫が強がるものの、既におみくじ売り場に目が釘付けになっている。
「私も…」 渚先生が小さな声で賛同する。
「では、みなさんご一緒に」 和先生が穏やかに微笑みながら、おみくじ代を取り出す。
「えっ!」 雫が慌てて財布を探る。 「あんたに払ってもらうなんて…!」
「新年の初詣くらい、私におごらせてください」 和先生の優しい笑顔に、誰も反論できない。
五人がそれぞれおみくじを引く。その手つきには、どこか緊張感が漂う。
「え!?大吉!」 ユリシアが飛び跳ねるように喜ぶ。 「しかも…恋愛運が…!」 途中で声を潜め、頬を染める。
「あら」 茉里絵が目を丸くする。 「私も大吉ですわ…恋愛運が…特に強く書かれていて…」 扇子で顔を隠しながら、チラリと和先生を見る。
「私も…大吉…」 渚先生の声が震える。 「ま、まさか…」
「な、なによ…私も大吉じゃない!」 雫が突然声を上げる。 「べ、別に気にしてないけど…」 慌ててポケットにしまいながら、和先生の方をちらちらと見やる。
「へぇ、みんな大吉なんだ」 和先生が不思議そうに首を傾げる。 「これは良い年になりそうだね」
「和先生のは?」 ユリシアが興味深そうに覗き込む。
「ああ、私は末吉だよ」 和先生が照れたように頭を掻く。 「でも、みんなが大吉なら、それだけで十分嬉しいよ」
その言葉に、四人の乙女たちの頬が一斉に赤く染まる。雪は静かに降り続け、神社の灯りが彼女たちの表情を優しく照らしていた。
帰り道 ~新年の約束~
神社を後にする五人の足取りは、来た時よりもずっと軽やかだった。
「あ、雪…まだ降ってるね」 ユリシアが空を見上げる。 「おにいたん♡、見て!まるで星みたい!」
「本当だね」 和先生が優しく微笑む。 「でも、みんな寒くないかな?」
「平気ですわ」 茉里絵が上品に微笑む。 「渚先生のカイロのおかげで、とても温かいです」
「そ、その…」 渚先生が頬を染める。 「和先生も、お使いください…」 小さな声で差し出したカイロに、和先生は優しく頷いた。
「あ!」 突然、雫が足を滑らせる。
「気をつけて!」 咄嗟に和先生が雫の腕を掴む。
「きゃっ…!」 思いがけない接触に、雫の顔が真っ赤になる。 「べ、別に大丈夫だったのに…!」
「まあまあ」 茉里絵が状況を和ませるように話しかける。 「雪道は滑りやすいですものね。私も気をつけないと…」
「あ、まりちゃん!」 ユリシアが茉里絵の腕に手を添える。 「私が支えるね!」
「ユリちゃん…」 茉里絵が嬉しそうに微笑む。
坂を下りながら、渚先生が小さく溜息をつく。 着物の裾さばきに気を取られて、和先生の腕に触れる機会を逃してしまった。
「渚先生」 茉里絵が気遣うように声をかける。 「着物のお裾、持ちましょうか?」
「あ、ありがとうございます…」 渚先生が感謝の笑顔を向ける。
「待って!」 ユリシアが急に立ち止まる。 「あそこ…屋台があるよ!甘酒売ってる!」
確かに、参道の脇には小さな屋台が出ていた。提灯の明かりに照らされた湯気が、温かそうに立ち昇っている。
「寒いし、みんなで飲んでいきましょう」 和先生が屋台に向かって歩き出す。
「また、あんたが奢るつもり?」 雫が突っかかるように言う。 「私だって…!」
「雫」 和先生が優しく微笑む。 「新年くらい、私に甘えてもいいんじゃないかな」
「なっ…!」 思いがけない言葉に、雫は言葉を失う。 (甘える…甘えていいの…?)
「あの…」 渚先生が恥ずかしそうに手を挙げる。 「私も、お会計を…」
「いえいえ」 和先生は首を振る。 「今日は私が全部お返ししたいんです。いつもみなさんには良くしてもらってますから」
「和先生…」 茉里絵が感動したように目を潤ませる。
「おにいたん♡の甘酒…!」 ユリシアは既に目を輝かせている。
五人分の甘酒を受け取り、近くのベンチに腰掛ける。温かい甘酒の湯気が、寒い夜空に溶けていく。
「ねぇ」 ユリシアが突然、真剣な表情で切り出す。 「来年も、みんなでここに来よう」
「ユリシア…」 雫が驚いたように目を見開く。
「約束よ?」 ユリシアが小指を立てる。 「みんなで約束しよう!」
「まあ」 茉里絵が嬉しそうに頷く。 「素敵な提案ですわ」
「私も…」 渚先生が控えめに、でも確かな声で答える。
「ちっ…」 雫は一瞬ためらった後、観念したように小指を出す。 「仕方ないわね…」
「和先生も!」 ユリシアが期待に満ちた瞳で見上げる。
「ああ」 和先生は穏やかに微笑んで、五人の小指を優しく結ぶ。 「約束だね」
真冬の夜空の下、五人の約束が交わされた。それぞれの胸の内には、来年への期待と、言葉にできない想いが広がっていく。
甘酒の温もりが、彼女たちの頬を優しく染めていった。
エピローグ 〜初夢の誓い〜
渚先生の初夢
実家の和室で、こたつに入りながらスマートフォンの画面を見つめています。ユリシアさんが撮ってくれた初詣での集合写真…。和先生の隣に立つ私の着物姿が、いつもと違って自然な笑顔を浮かべています。
「渚先生、みんなで記念写真撮りましょう!」と言ってくれたユリシアさんのおかげで、こんな素敵な思い出が残せました。
温かいこたつの中、その写真を見つめているうちに、私の意識はそっと夢の中へ誘われていきます…。
職員室。誰もいない夕暮れ時に、和先生と二人きり。私はいつものように、先生にお茶を淹れています。すると突然、和先生が静かに話しかけてくるのです。
「渚、君の筋肉と女性らしさの調和は、本当に素晴らしいよ」
思わず手が震えて、カップを落としそうになる私。でも、そんな私の手をそっと支えてくれる和先生。
「君の強さに、いつも助けられているんだ…」
夢の中でも、私の心臓は激しく鼓動を打ちます。筋トレで鍛えた体は、こんなにも震えてしまうのに…。
「先生…私は…私は先生のことを…!」
やっと口にできた言葉。その時、和先生は優しく微笑んで…
夢から覚めた時、私の頬には本物の涙が伝っていました。でも、それは悲しい涙じゃない。いつか必ず、この想いを伝えられる。そう信じられる、希望の涙でした。
雫の初夢
ふん!別に和先生のこと考えて寝たわけじゃないんだからね!たまたま…たまたま夢に出てきただけなんだから!
って、あれ…?どうしてこんなところで独り言…。ああもう、うるさい!夢の話なんて誰にも聞かせたくないのに…でも…。
夢の中の私は、すごく大人っぽくて、堂々としていて…。和先生の前でも、ちゃんと素直な気持ちを伝えられるの。
「ね、あんた…いや、和先生」 「どうしたんだい、雫?」 「私ね、アンタのことが…その…好き…なの」
夢の中なのに、顔が熱くなるの。でも、それを見た和先生は、いつもの優しい笑顔で…。
って、ちょっと!なんでこんな恥ずかしい夢の話してるのよ!絶対誰にも言わないでよ?特にユリシアには…!
でも…あの夢の中の私みたいに、いつか素直になれたら…なんて。
あ゛ー!もう考えるの禁止!禁止なんだからーっ!
茉里絵の初夢
淑女の日記に、夢の内容を記すのは少々はしたないかもしれませんが…。
夢の中の和先生は、まるで童話の王子様のよう。私が淹れた紅茶を「素晴らしい香りだ」と褒めてくださって…。その後、二人でワルツを踊るの。
「茉里絵君は、本当に優雅だね」 「和先生…」 「君の立ち居振る舞いには、いつも心を奪われているよ」
夢の中とはいえ、あまりの幸せに扇子で顔を隠してしまいそうになりました。でも、和先生はそんな私の手を取って…。
ああ、これ以上は淑女として書き記すのは憚られます…。でも、この夢のように優雅に、そして凛として。いつか和先生の心に、私の想いが届きますように…。
ユリシアの初夢
えへへ…。夢の中でも、おにいたん♡はすっごく優しかったの!
お手製のお弁当を食べてくれて、「ユリシアの料理は世界一だ」って褒めてくれて…。その後はピクニックに行って、おにいたん♡が私の頭を撫でてくれて…。
その手が離れないように、私、思わずおにいたん♡の腕にしがみついちゃった…。そうしたら、おにいたん♡が囁くの。
「ユリシア、君は僕の大切な…」
って、その続きを聞く前に目が覚めちゃった…!もう!夢の続き、見たかったのに〜。
でも大丈夫!だって私たち、もう婚約してるんだもん!これからもずっとずっと、おにいたん♡と一緒にいられるんだから…!
〜大晦日の夜に交わした約束は、それぞれの夢の中で、より一層輝きを増していくのでした〜