プロローグ(雫の独白)
学院の高等科に入学してから、なんとなく私は周りから浮いているように感じていた。もともと芸能界に片足を突っ込んでいる私は、普通の生徒たちと同じ生活を送ることが難しかったのかもしれない。授業が終わるとすぐに撮影のために外出し、週末にはグラビア撮影や雑誌の取材。そんな私を、他の生徒たちはどこか「別の世界の人」として見ていた。
別にそれが嫌だったわけじゃない。むしろ、私はその疎外感を楽しんでいた。私には私の生きる世界があって、他の人には理解できないことがたくさんある。けれど、少しだけ寂しいと感じることもあった。みんなが普通に友達と楽しんでいる日常が、私にはどこか遠いものに感じられていたから。
そんな時だった。クラスメイトのユリシアが、私に興味を持って話しかけてくれたのは。
「雫さんって、グラビアやってるんだよね?どうやったら、そんな風に自分に自信を持てるの?」
彼女のその質問は、少し驚いた。まさか学院でそんなことを聞かれるとは思ってもいなかったから。けれど、彼女が本気で自分を変えたいと思っていることが伝わってきて、私はちょっと嬉しかった。自分に興味を持ってくれる人がいるって、悪くない気分だった。
「自信?それはね、自分をどう見せるかを知ることよ。」そう言って、私は彼女にグラビアポーズの特訓を提案した。「だって、あんたも誰かに見てほしいんでしょ?」と、少し意地悪な笑みを浮かべながら。
ユリシアが少し恥ずかしそうに「うん…自分を見てほしい人がいるんだ…」と答えた時、私はすぐにそれが誰なのか察した。けれど、あえて詳しくは聞かずにこう言った。
「じゃあ、私がとっておきの方法を教えてあげる。」
グラビア特訓の始まり(ユリシアの視点)
雫ちゃんに誘われて、私は露天風呂がある学院の敷地にやって来た。今日は、雫ちゃんの提案でグラビアポーズの特訓を受けることになっている。
「さぁ、ユリシア。まずは基本からね!」と、雫ちゃんが元気よく言う。
私は水着姿で、風呂の周りを歩きながらポーズを取ることに。恥ずかしさで体が固まってしまうけれど、頭の中には「おにいたん」のことが浮かんでくる。
「おにいたん…私、今日も頑張るよ…」そう心の中でつぶやきながら、ぎこちなく腰をひねってみた。
「ちょっと、ユリシア!それじゃ固すぎるわよ!もっとリラックスして、胸を張って!」雫ちゃんがすぐにダメ出しをしてくる。
「リラックスって言われても…」私は内心で戸惑う。どうしても恥ずかしさが先に立ってしまい、思うように体が動かない。
「自分を見せるんだから、自信持ちなさいよ!誰かに見てほしいんでしょ?だったら、もっと大胆にやってみなさい!」と雫ちゃんがさらに畳みかけてくる。
私はもう一度、勇気を振り絞って腰をひねる。そして胸を張り、少しだけ笑顔を作ってみる。「おにいたんが見てくれてると思えば…少しは頑張れるかも…」
雫の厳しい指導
「そうそう!その調子!」雫ちゃんが少し満足そうに頷く。「でも、まだまだ固いわね。次はもっと大胆に!髪をかき上げて、セクシーに見せるのよ!」
「セ、セクシー…?」私は、その言葉の意味に戸惑った。
「そうよ!グラビアはただポーズを取るだけじゃないの。自分の魅力を最大限に引き出すために、表情や動きも工夫するの!自分をどう見せるか、それが大事なのよ!」と、雫ちゃんが自信満々に説明する。
私は髪をかき上げる動作をしてみるけれど、どうしても顔が熱くなってしまって視線をカメラに向けることができない。
「ユリシア、目をそらしちゃダメよ!視線はカメラに向けるの!そうしないと、自分の魅力が伝わらないわよ!」と雫ちゃんが指摘する。
「おにいたん…私、ちゃんとできてるかな…?」心の中でそうつぶやきながら、なんとか雫ちゃんの指示に従おうとするけれど、やっぱり恥ずかしくて、うまくいかない。
「もっと腰をひねって、胸を張って!そう!グラビアは全身を使って自分を見せるのよ!どんなポーズでも、全てが美しく見えるようにしないとダメ!」と、雫ちゃんがさらに厳しい指導をしてくる。
「わ、わかった…やってみる…」私はもう一度、勇気を振り絞ってポーズを取る。おにいたんに見られていると思うと、少しだけ自信が湧いてきた。
おにいたんを想いながら
「おにいたんが見てくれてる…」そう思いながら、私はポーズを取り続ける。少しずつだけれど、体の動きも滑らかになってきた気がする。
「いいわよ、ユリシア!その調子!でも、もっと表情も工夫して!笑顔を作って、楽しそうに見せなさい!」と雫ちゃんがアドバイスをくれる。
私はおにいたんのことを考えながら、少しだけ笑顔を作ってみる。「おにいたん…私、頑張ってるよ…。見てくれてるよね?」
そんな風に思いながら、私は雫ちゃんの指導に従って、少しずつポーズを取ることに慣れていった。
特訓の終わりと新たな決意
「よし、今日はここまでにしとくわ。ユリシア、最初にしてはよくやったわよ!」と雫ちゃんが笑顔で言ってくれる。
「…そ、そうかな?でも、まだまだ難しいよ…」と私は正直に答える。
「まあ、最初は誰でもうまくいかないわ。でも、ユリシアには自信を持つ理由があるはずよ。だって、見てもらいたい人がいるんだから。」と、雫ちゃんが意味深な笑みを浮かべる。
「……そうだね。おにいたんに、ちゃんと私のことを見てもらいたいから…だから、もっと頑張るよ。」私は心の中でおにいたんを想いながら、そう決意を新たにした。