如月柚羽

第2学年

この指が未来を打つ――和先生の“電卓教室”と雫のドヤ顔

「特別講義、開講です」風通しのよい6月の午後。商業科の教室に、生徒たちのざわめきが広がっていた。「……今日の補講って、簿記じゃないの?」「いや、先生が“道具の話...
第2学年

閑話 ゴールデンウィーク*柚羽の「がんばり過ぎ注意報」

“48 時間完璧計画” 発動――まだ見知らぬ背中越しの決意ゴールデンウィーク前夜。寄宿舎の玄関ホールは旅行バッグをころがす同級生たちの笑い声で満ちていた。しかし...
第2学年

『ユリシア日記』第2学年編・第8話 「ダブル受験宣言――それぞれの“はじまり”」

新緑がキャンパスを包む放課後。窓辺をかすめた風に、ユリシアの淡いピンク髪がふわりと揺れた。教室では中間テスト返却のざわめきも引き、代わりに「今年こそ簿記を受ける...
第2学年

🌸『ユリシア日記』第2学年編 第7話:導く手、見上げるまなざし

午後の職員室。窓際のカウンターで、如月柚羽は渚先生の横に並び、書類の整理を手伝っていた。「柚羽さん、ファイルはその棚の左から3番目にお願いね」「はいっ、すぐに」...
第2学年

🌸『ユリシア日記』第2学年編 第6話:品格と気品、そのはざまで

放課後の紅茶会サロン。窓から差し込む夕陽が、白磁のティーカップを淡く照らしていた。「……では、次の招待状はこの封筒でいかがでしょう?」「うん、ぴったりだと思いま...
第2学年

🌸『ユリシア日記』第2学年編 第5話:火花と共鳴、ふたりの距離

それは、月曜日の特別課題授業の前日――。「明日のグループワークね、雫ちゃんは如月さんとペアになってもらえる?」担任の渚先生の言葉に、雫は一瞬きょとんとした表情を...
第2学年

🌸『ユリシア日記』第2学年編 第4話:揺れる姉心、まっすぐな眼差し

ある春の放課後――。「じゃあ、今日はユリシアさんと如月さん、教室の掃除当番お願いね」クラスメイトの声を背に、モップを手にしたユリシアは、ふっと小さく息を吐いた。...