試験を終えて – 4人の日記(雫の日記)(第2学年編・29-2)

和先生と学ぶ♡淑女の簿記検定物語第2学年雫の日記
2025年10月11日(土曜日) 深夜26時過ぎ

また眠れない。

試験が終わってから、もう何時間経っただろう。

頭の中で、あの第5問の標準原価計算が、ずっとぐるぐる回ってる。

落ちた。絶対、落ちた。

3級は大丈夫だと思う。あれは完璧に解けた。でも、2級は…

連結精算表で混乱して、部分点狙いで適当に埋めた箇所が多すぎる。標準原価計算なんて、ほとんど手つかず。最後の10分で必死に書いた計算式に、部分点があることを祈るしかない。

和先生…ごめんなさい…

あんなに教えてもらったのに。赤ペンでコメント書いてくれた47枚のプリント、全部やったのに。

税効果会計のところだけは、本当に和先生のおかげでスムーズに解けた。あの時だけ、「やった!」って思えた。でも、それだけじゃ足りない。70点取れなきゃ、不合格なんだから。

美咲にも、何て言えばいいんだろう。

お星さまにもお月さまにも、毎晩お願いしたから大丈夫だよ!」って、キラキラした目で言ってくれた美咲。

情けない姉でごめん

桜の木の下で泣いてた時、誰にも見られなくてよかった。もし和先生に見られてたら、きっと慰めてくれただろうけど…そんなの、余計に辛い。

「雫なら必ず理解できる」

この言葉を裏切ってしまった。

- - -

でも、まだ結果は出てない。

2週間後まで、分からない。もしかしたら、部分点で何とかなってるかもしれない。

そんな奇跡、あるわけないけど

柚羽のパニックになってた顔、思い出す。私があんなに教えたのに、本番で実力出せなかったみたい。ごめんね、柚羽。もっといい教え方があったのかも。

ユリシアは…相変わらずだった。でも、試験中は真剣だった。あいつも、本当は頑張ってるんだ。

次から、どんな顔して和先生に会えばいいんだろう。

「どうだった?」って聞かれたら、何て答えよう。

「大丈夫です」なんて、嘘はつきたくない。でも、「ダメでした」なんて、言いたくない。

和先生…私、あなたの期待に応えられなかった…でも、それでも…好きです…

がっかりされたくない。見放されたくない。

もう教える価値もない生徒だって思われたら

ううん、違う。和先生はそんな人じゃない。そんなこと思うはずがない。分かってる。ちゃんと分かってる。

試験の結果がどうであれ、きっと「よく頑張った」って言ってくれる。そういう人だから。

でも、怖い。

理性では分かってても、心が勝手に不安になる。

こんな情けない私でも、まだ好きでいていいですか。

疲れた。でも、眠れない。