2025年8月23日(土)晴れ
第1章:待ちに待った朝の準備タイム
2025年8月23日、土曜日の朝6時。いつもなら休日はゆっくりしているはずの渚先生が、目覚ましが鳴る前にパチッと目を覚ました。待ちに待った、3週間ぶりの和先生とのウォーキングデートの日だ。
(ついに、この日が…!) ベッドの中で手足を伸ばし、シーツの上をゴロゴロと転がる。この三週間、本当に長かった。先生が担当する簿記の夏期講習。その響きを聞くだけで、胸が少しだけチクッとする。でも、今日こそは…。
勢い良く布団から飛び出した渚先生は、鏡の前で、普段下ろしている自慢のストレートロングの髪を丁寧にブラッシングした。運動の時は邪魔にならないようにポニーテールにするのが常だが、

今日は、このまま下ろしていこうかしら…
と鏡の中の自分に問いかける。でも、すぐに

ううん、運動だしね。いつも通りが一番かな
と小さく首を振り、きりりとポニーテールに結い上げた。でも、今日は特別。ヘアアクセサリーを、少しだけ華やかなピンク色のシュシュにチェンジする。
クローゼットを開けると、ウォーキング用の服装選びが始まった。

体のラインが分かりすぎるウェアは…先生が目のやり場に困っちゃうかもしれないな。でも、せっかく鍛えたこの体、少しはアピールしたいし…あぁ、乙女心って、なんて複雑なんだろう!
数分間のファッションショーの末、彼女は一枚のウェアを手に取った。 「よし、これにしよう!」 薄めのピンク色が女性らしい、機能的なスポーツウェアに、白いスニーカー。これなら、見た目も動きやすさも完璧!渚は鏡の前で、小さくガッツポーズを決めた。
洗面所では、いつもより丁寧にスキンケアを施す。そして…今日は少しだけ、ほんの少しだけ大胆に。いつものナチュラルメイクに加えて、潤んだ唇を演出する、ほんのりピンク色のリップグロスを薄く塗ってみた。

うわっ…今日の私、少し大胆すぎるかもしれない…
鏡の中の自分を見つめ、顔がカッと熱くなる。

で、でも、これはエチケットよ!ウォーキング中に汗をかいて、先生と水分補給する時に、もし唇がカサカサだったら、恥ずかしいもん!
誰に言うでもない言い訳を心の中で呟きながら、彼女は玄関のドアへと向かった。
第2章:ついに再会!パオン・モールへ
午前9時、パオン・モールの正面入り口。待ち合わせ時間の15分前に到着した渚先生は、和先生の姿を探してソワソワしていた。昨日までの天気予報では雨だったのに、今日は見事な晴天。まるで二人の再会を祝福してくれているかのようだ。

あ、和先生!
遠くに彼の姿を見つけ、思わず駆け寄る。

おはようございます!簿記の夏期講習、本当にお疲れ様でした!

渚先生、おはようございます。こちらこそ、急に予定を変更してしまって申し訳ありませんでした
三週間ぶりに間近で見る彼の笑顔は、少しだけ疲れているように見えたけれど、やはりどうしようもなく優しくて、素敵だった。

今日のウェア、とても素敵ですね。色合いも爽やかで、ウォーキングにぴったりです

あ…ありがとうございます…!
自然な褒め言葉に、渚の顔が真っ赤に染まる。

嬉しい…!ちゃんと見ててくれたんだ…!
モール内に足を踏み入れると、エアコンの効いた涼しい空間が二人を迎えてくれる。前回よりも人通りは少なく、今日は二人だけの時間を過ごせそうな予感がした。

それにしても、この三週間、本当に忙しくて…。生徒たちのやる気が高くて嬉しい反面、正直、少し疲れが溜まっているかもしれません。運動不足も気になりますし…
和先生が、少しだけ弱音を漏らす。その普段は見せない姿に、渚の胸がきゅっと締め付けられた。

先生、お疲れなのね…。今日こそ、私がしっかりサポートしなくちゃ!ジムで鍛えたこの体力は、この日のためにあったんだわ!
第3章:突然の眩暈と、重なる鼓動
順調にウォーキングを続ける二人。渚先生は和先生の体調を気遣い、ゆっくりとしたペースを保っていた。時折彼の様子を窺うと、やはり少しだけ呼吸が浅く、額には薄っすらと汗が滲んでいる。

先生、お疲れではありませんか?息が少し上がっているようですし…水分補給はこまめにされた方が

ありがとうございます、渚先生。普段の運動不足が祟っていますね。このペースでも、少し…
和先生がそう言って苦笑した、その瞬間だった。 彼の足元が、ふらりと揺れた。

おっと…
彼の顔からすっと血の気が引き、その体がゆっくりと傾いでいく。夏の疲れが、一気に噴き出したのかもしれない。

先生!
咄嗟に、渚先生は彼の腕を掴み、その体を力強く支えた。二人の体が、予期せず密着する。

心臓が、喉から飛び出しそう。思考が真っ白になる。ダメ、私は教師、しっかりしないと…!でも、腕に伝わる先生の体温が、私の理性を全部溶かしてしまいそう…!

…すまない、渚。少し、眩暈がしたようだ

渚…?先生が、私のことを、昔みたいに…
学生だった頃、保健室で励ましてくれた時と同じ、あの呼び方。不意に呼び捨てにされたことで、心配とは別の、甘い痺れが渚の背筋を駆け上がった。

大丈夫ですか!?怪我はありませんか!?
本気の心配が、彼女の口から飛び出す。でもその声は、自分でも気づかないうちに、少しだけ上ずっていたかもしれない。

ああ、君が支えてくれたおかげでね。…君は、本当に頼りになるな
感謝の言葉と共に向けられた、弱々しい笑顔。その破壊力に、渚の心臓はもう限界だった。

あちらにベンチがありますから、少し休憩しましょう!
彼女は彼の体をしっかりと支えながら、近くのベンチへと導いた。ベンチに座り、渚先生が自分の水筒から冷たいスポーツドリンクを差し出す。和先生が「ありがとう」と受け取って飲む様子を、彼女はただ黙って見つめていた。

ありがとう

先生が、私の水筒に口をつけてる…
その事実だけで、頭が沸騰しそうになる。彼が飲み終えたペットボトルをそっと受け取ると、まだ彼の体温が残っているような気がして、胸の奥がきゅんとした。
第4章:新たな約束と、育ち始める想い
しばらく休憩した後、和先生の顔色もずいぶんと良くなった。

渚先生、今日は本当にありがとうございました。体力面で、随分と助けられてしまいました

いえ!私でお役に立てたのなら、嬉しいです!

そういえば、ユリシアたちも最近、体力作りに励んでいるようですね

そうなんです!ユリシアさんは水泳、雫さんも最近ランニングを始めたそうですし、茉里絵さんはヨガに夢中で…。

みんな健康意識が高くて、教師として嬉しいですね。和先生も、生徒たちに負けないよう、一緒に頑張りましょう♪

はは、そうですね。僕の方こそ、渚先生のサポートのおげで続けられています。

一人だと運動もサボりがちですが、渚先生と一緒だと頑張れますし、何より、楽しいですから
その言葉に、渚の心が温かくなる。 最後の直線コースに差し掛かった時、和先生が少し立ち止まって振り返った。

渚先生、来週の土曜日はいかがですか?
少し照れくさそうに、彼は続けた。

もしよろしければ…今度は違うコースも歩いてみませんか?隣の公園にも、気持ちのいいウォーキングコースがあるそうなんです

はい!ぜひ!
渚は、満面の笑みで即答した。
ウォーキングを終え、モールの入り口で別れの時間がやってくる。

和先生、今日は本当にありがとうございました。今日はゆっくり休んでくださいね。来週まで、決してご無理なさらないでください

ありがとうございます。渚先生と過ごす時間は、本当にリラックスできます。来週まで、お互い体調管理に気をつけましょう
帰りの電車の中で、渚先生は今日の出来事を振り返りながら、幸せな気持ちでいっぱいだった。和先生の弱さを支えられたこと、彼の優しい言葉、そして来週の新しい約束…。すべてが宝物のような思い出になっていく。
エピローグ:渚先生の秘密日記
きゃーっ!今日のデート、最高すぎた!もう、思い出すだけで顔が熱いよぉ…!😳💖
だって、だって!和先生が、私のことを「渚」って、呼び捨てにしてくれたんだもん!学生の時みたいに!あれは反則だよぉ…心臓が止まるかと思った…!💓
それに、先生が眩暈で倒れそうになった時、私がさっと支えてあげられたの!まるで、お姫様を守る騎士みたいじゃなかったかな!?えへへ、ジムで鍛えてて本当に良かった!💪✨
あとあと!私の水筒のお水を、先生が飲んでくれたの!きゃーっ!間接キス…だよね!?だよね!?もう、あのペットボトル、一生洗えないかも…!🙈💕
はぁ…先生の少し弱った姿、なんだかすごくドキドキしちゃった。私が守ってあげなくちゃ!って、本気で思っちゃったんだから。
来週は、公園でウォーキングデートの約束もできたし…!よし、今度はもっと先生をリラックスさせてあげられるように、愛情たっぷりのお弁当、作っていっちゃお!🥪❤️
生徒たちの健康管理も大切だけど、まずは一番近くにいる、大切な人の健康管理から!それが、今の私にできる、一番の愛情表現なんだもん!
うーん、楽しみすぎて、今夜は眠れないかも!🌙